介護医療院の入所対象者や入所条件、Ⅰ型とⅡ型の違いなどわかりやすく解説!

介護医療院の入所対象者や入所条件、Ⅰ型とⅡ型の違いなどわかりやすく解説!

「介護が必要になった家族にできるだけ安心して療養してもらいたい。」そう考えたときに選択肢のひとつとなるのが介護医療院です。介護医療院は、医療と介護の両方を継続して受けられる施設として、2018年に新しく創設されました。対象者は主に、長期療養が必要な方や、在宅での介護が難しい方です。こうした方々の生活を支える場として注目されています。本記事では、入所対象者やⅠ型とⅡ型の違い、入所までの流れや費用の目安をわかりやすく紹介します。

小田村 悠希

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)

・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護医療院の概要と入所対象者

介護医療院の概要と入所対象者

ここでは、介護医療院とはどのような施設なのかという基本的な知識から、Ⅰ型とⅡ型の違い、入所できる対象者の特徴を解説します。

介護医療院とはどのような施設ですか?

介護医療院は、要介護状態にある高齢の方が医療と介護の両方を受けながら長期的に生活できる介護保険施設です。2018年にスタートした新しい制度で、これまでの介護療養型医療施設や医療療養病床の役割を引き継ぎ、全国的に整備が進められています。

入所者は、病院のような治療を受けつつ、介護職員のサポートのもとで日常生活を送ります。厚生労働省によると、療養上の管理や看護、医学的管理のもとでの介護や機能訓練、日常生活の支援を行うことを目的としています。

特別養護老人ホームや老人保健施設は、生活や在宅復帰を主な目的としていますが、介護医療院は医療ニーズが高く、在宅での療養が難しい方を想定している点が大きな違いです。医師や看護師が常駐し、治療と生活支援の両立を重視したケアが行われています。

介護医療院Ⅰ型とⅡ型の違いを教えてください

介護医療院は、Ⅰ型とⅡ型の2種類があります。違いは、医療的な対応の範囲と職員の配置基準、病室の広さです。Ⅰ型は医療依存度の高い方を対象としており、医師や看護師の配置が手厚く、より専門的な医療ケアを提供できる体制です。重度の身体疾患や合併症を抱える方、認知症を伴い全身管理が必要な方などが入所しています。

一方、Ⅱ型は容体が安定し、医療行為の頻度が少ない方を対象としています。介護を中心にしながら必要な医療支援を行う形で、生活の場としての性格がより強いのが特徴です。

例えばⅠ型は、気管切開や経管栄養、酸素吸入などの医療的処置が日常的に必要な方も対象です。対してⅡ型は、服薬管理や軽度の褥瘡(じょくそう)処置、慢性疾患の見守りなど、落ち着いた状態での支援が中心となります。

介護医療院では、どのような医療ケアや日常生活のサポートを受けられますか?

介護医療院では、点滴・栄養管理・褥瘡(じょくそう)処置・喀痰(かくたん)吸引・気管切開管理など、医療行為を伴うケアが受けられます。また日常生活面では、食事・入浴・排せつ・更衣などの介助、機能訓練(リハビリ)、健康チェック、服薬管理、看取り対応なども含めて提供されています。

医学的管理の下で生活を支える形で提供されることが、介護医療院の特徴です。

介護医療院の入所対象となる介護度などの条件を教えてください

一般的な条件として、介護保険による要介護1〜5の認定を受けていることが前提です。また、原則として65歳以上の方が対象ですが、40〜64歳の方でも特定疾病(例えば関節リウマチ、パーキンソン病など)に該当し、要介護認定を受けていれば入所できる場合があります。

ただし、施設によっては独自に条件を設けていることもあるので、施設ごとの確認が必要です。

介護医療院で入所が優先されるのはどのような方ですか?

施設ごとに優先順位の基準を設けていることがありますが、医療ケアの度合いが高い方や在宅からの移行が難しい方、あるいは緊急性のある病態変化を抱えている方が優先される傾向があります。施設運営者は、入所申し込みが多い場合、重症度や医療ニーズをもとに判断することがあります。

Ⅰ型介護医療院とⅡ型介護医療院で入所対象者は異なりますか?

はい、やや異なります。Ⅰ型はより医療ニーズの高い方を対象とすることが多く、重症な状態の方や複数の合併症を抱えている方、頻繁な医療管理が必要な方が受け入れられやすいです。一方、Ⅱ型は容体が安定しており、医療行為の頻度がやや少ない方が対象になる可能性が高いです。ただし、あくまで傾向であり、施設によって差があるので、入所希望先の施設基準を確認することが大切です。

医療依存度は入所条件に影響を与えますか?

はい、医療依存度は、入所可否や優先順位に大きく関わる要素になります。Ⅰ型では、医療依存度が高い方を想定しています。一方、Ⅱ型は落ち着いた状態を前提とするため、医療依存度が極端に高い方を受け入れにくい施設もあります。

そのため、申し込みを考える際は、その方の医療ニーズを整理して、候補施設に相談することが重要です。

介護医療院入所の流れと費用

介護医療院入所の流れと費用

ここでは、申し込みから実際に入所するまでの流れや必要な準備、待機期間、費用の目安などを解説します。

入所の申し込みから入所までの流れを教えてください

最初に、入所を希望する施設へ問い合わせをします。施設見学を兼ねて相談員と面談を行い、ご本人や家族の意思や要望、健康状態を話し合います。

次に、主治医の情報提供書や検査データなど必要書類を施設に提出し、入所判定会議を経て受け入れの可否が決まります。入所が決まれば、利用契約や重要事項説明を受け、入所日を決定して実際に入所となります。

入所する際に必要な準備は何ですか?

前提として、介護保険の要介護認定を受けておく必要があります。その後、主治医からの診療情報提供書や検査結果、健康診断データなどを揃えます。加えて、入所申込書、個人情報シート、家族との面談資料、契約書類(サービス利用契約・重要事項説明書など)の準備を求められます。

施設によっては、衣類やタオル、日用品など身の回り品のリストが提示されることもあります。

入所待機期間はどのくらいかかりますか?

待機期間は施設の空き状況や優先順位、申し込みの時期、医療ニーズの度合いなどによって大きく変わります。即日入所できるケースもあれば、数ヶ月待つこともあります。

特に人気がある施設や医療依存度の高い施設は申し込みが多いため、待機が長くなる傾向があります。利用希望を出したら、施設や地域の相談窓口に、待機リストの状況を確認しておくとよいでしょう。

費用の目安や自己負担額はどのくらいですか?

介護医療院の月額利用料には大きく、介護サービス費や食費、居住費の3つが含まれます。介護サービス費は、通常は1割負担です。全体の費用の相場としては月額で約10万円〜20万円といわれています。

ただし、所得や世帯構成、部屋のタイプ、施設の加算制度などによって大きく変わるので、入所を検討する施設で見積もりを取ることをおすすめします。

配信元: Medical DOC

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