「ハードルを下げれば人は来る」への違和感
2025年12月18日、NHKなどが報じた「教員免許取得に必要な単位数の削減検討」というニュース。教職課程の負担を減らし、教員志望者を増やす狙いがありますが、SNSでは「なり手不足の原因はそこじゃない」「ブラックな労働環境が変わらなければ意味がない」と批判の声が噴出しています。
入り口のハードルを下げることは、即ち「学ぶ量を減らす」こと。
子供の学力や人格形成に関わるプロフェッショナルに対し、安易な「時短・削減」を求めることに、現場や保護者からは強い拒否反応が示されています。
「人生経験豊富な人に先生になってほしい」
そんな議論の中で、編集部は2人の子育てを終えた主婦・Aさん(40代後半)に話を聞きました。
彼女は、教員免許の単位削減についてこう語ります。
「私も質の低下は懸念します。子育てを通して、『素晴らしい』先生と『人としてどうかな』と思う先生、両方に出会いました。だからこそ思うのは、人生経験が豊富な人が、子どもも保護者も尊敬できる人が今後もっと教師になるべきではないか、ということです。」
「もちろん若い先生にしかできないこともあります。でも、多様な子供たちを指導するには、社会で揉まれてきた大人の包容力や経験が役立つ場面が多いはず。
単位を減らして若手のハードルを下げるより、社会人経験を積んだ40代・50代のセカンドキャリアとして『教師』を目指しやすい社会にしてほしいんです。
セカンドキャリアとしてイチから目指す人もいていいと思うのですが、実は、私の父は教師です。私も私の母も大学時代に教員免許を取得していますが教師にはなっていません。子どものころから教師を目指していました。しかし、自身が成長し、父の働き方を見ていると、待遇面や給料が仕事内容に見合わず、普通に就職したほうがよかったから。
私のようなペーパーティーチャーもたくさんいると思います。教師になりやすくしたところで、ペーパーティーチャーを量産するだけにはなるのでは……必要なことは医師や弁護士のように、教師が選ばれる職業になることなのではないでしょうか。マイナスイメージ、ブラックなイメージが強すぎます。根本から変えるべき」

