埼玉県川口市の伊藤鉄工が鋳物鍋「フェラミカ」でこども食堂を守るクラファン実施中


鋳物の町・埼玉県川口市で90年以上の歴史を持つ伊藤鉄工は、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて、鋳物鍋「フェラミカ(Ferramica)」の販売を通じた支援プロジェクトを、12月15日(月)~2026年1月18日(日)の期間中実施している。

同プロジェクトは、「フェラミカ」を17,600円~という特別価格で販売し、売上の一部を「新しい道」へ寄付することで、こども食堂への食材提供や農業支援につなげるものである。

不可能といわれた厚さ2mmへの挑戦

江戸時代から鋳物の町として栄えた埼玉県川口市。伝統である鋳物産業は、『キューポラのある街』として映画にもなった。

この地で、マンホールや配管など、社会インフラを支えてきた、創業1931年の伊藤鉄工が、「家庭で使いやすい鋳物鍋を作りたい」と開発に着手したのが「フェラミカ」だ。


鋳物鍋は熱伝導や蓄熱性に優れ、料理を美味しく仕上げる反面、重くて扱いにくいという課題があった。「もっと軽くしたい」という思いから目指したのが、厚さわずか2mmという極薄設計だ。

しかし、鋳物業界において2mmとは製品として成立しない「バリ(不要な出っ張り)の厚さ」であり、同業者からは「できるわけがない」と一笑に付されたという。それでも職人たちは諦めず、1500度の鉄を操る技術で、数えきれない失敗の末、薄くて軽いかつ強靭な鍋を完成させた。

海外を唸らせた強靭さ


「フェラミカ」は、本来の鋳物ホーロー鍋の約半分の軽さを実現。さらに、粘り強い性質を持つ「ダクタイル鋳鉄」を使用することで、30mm変形しても割れない強度を誇る。

海外の展示会では、「こんなに薄くてはすぐに割れる」と冷笑された際、担当者がその場で鍋を床に叩きつけた。轟音が響く中、拾い上げた鍋にはひび一つなく、会場は驚きと称賛に包まれたという。

この技術は高く評価され、経済産業省の「JAPANブランド育成支援事業」に採択されたほか、川口市が認定する初代「i-monoブランド」にも選ばれている。

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