今年一年も、やはり株価は物価・賃金以上に上昇
本の中では、賃金上昇率や物価上昇率より、株価の成長率が上回ると紹介しました。
これは、フランスの経済学者のトマ・ピケティによるr> g(資本収益率は経済成長率を上回るもの)で一般にも知られるようになったと思いますが、こちらも振り返って答え合わせをすると、今年も株価は、賃金や物価の伸び以上に成長していました。
色々な統計データがあるものの、日本国内の今年の賃金上昇率は5-6%程度、物価の上昇率は3%程度だったようです。一方で、株価の方は、日経平均は年初から25%以上も値上がりしています。
日経平均は指数の特殊性があるので、もう一つの国内の代表的な株式指数であるTOPIXの上げ幅を紹介すると、こちらも年初から20%以上値上がりしています。
ちょっと信じられない上げ幅です。
上場企業は日本企業の中でも選りすぐりの企業ですから、インフレ以上の値上げができ、従業員の賃上げをしても十分に利益を増やせることができるとしても、さすがに株価は値上がりしすぎです。だいたい、日本の株式投資での期待リターンは年で6-8%程度ですから。10%を超えても高いのに、20%とは異次元のレベルです。
背景にはAI投資の加速、高市首相の経済政策への期待があったようです。高市さんは、成長分野への投資と、日本の輸出企業のための円安を政策上打ち出していましたから、理屈上は株価が上がるのは理解できるものの、正式に首相に就任したのは10月21日ですから、ちょっと期待を先取りしすぎている気もします。
今年は世界的にも株式市場は絶好調で、オルカンも今年一年で約20%値上がりしました。途中でトランプ・ショックはあったにせよ、後から振り返ってみると、今年の株式市場は絶好調だったと言えるでしょう。
一方、銀行預金は上昇傾向といっても、大手都市銀行で0.3%程度、一部のネット銀行で一年定期預金の金利が1%という状況です。これでは、物価の上昇率を下回っているので、銀行預金をしている限り、資産は相対的に目減りをしていることになります。
来年も株高は続く……? こどもNISAは使うべき……?
今年一年は投資が絶好調な年だったとして、来年はどうなるでしょうか?
ここで私が、「来年は世界経済は引き続き好調で、インフレも続くから、投資をするのがお勧め!」なんて断言できると格好いいのですが、残念ながら、「まったく、分かりません!」が私の答えになります。
だって、去年の2024年は、オルカンは30%値上がりし、日経平均も20%値上がりしているんですよ。2025年も同じ水準で値上がりすることなんて、私は去年時点でまったく予想できませんでした。「トランプが大統領になりそうで、経済が低迷しそうで不安だな」と何となく考えていたぐらいです。来年の世界経済の不安要素は中国経済でしょうが、それもどう株価に影響を与えるか、私には分かりません。
株価が短期的にどう動くかはさっぱり分からないものの、基本的には物価や賃金以上に株価が上昇するのは長期的な傾向としては続くと考えています。r> gですね。
だから、これまでの約20年間と同様に、来年も私は淡々と投資を継続するはずです。だって、別に来年に大金が必要なわけじゃないですから。長期投資をしている以上、単年度の予想は私は興味がないし、分からないというのが答えになります。
来年注目している制度はあります。「こどもNISA」です。
現在の「新NISA」を未成年(こども)にも拡大し、投資を出来るようにするものです。記事執筆時点で制度導入は確定していませんが、我が家は恐らく利用するはずです。なぜなら、合法的な相続税の節税対策になるからです。
ただ、一般家庭には「こどもNISA」はお勧めはしません。なぜなら、子どもの資産を増やすよりも、親の資産を増やす方が優先ですから。来年も、「新NISA」の年間360万円の投資枠×夫婦分は親が投資できるわけで、更に子どもの分も投資できる余力がある家庭は限定的でしょう。
はっきり言って、「こどもNISA」はお金持ち向けの制度です。我が家としては、ふるさと納税と同じく、「節税できる合法的な制度が存在しているなら、使わない理由がない」という観点で、消極的に利用するはずです。

