本番に向けて焦りは禁物――教育虐待に陥らないために

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
中学受験の本番と言われる2月1日まで残り1ヶ月と少しとなりました。
千葉・埼玉、あるいは地方の学校であれば、1月中から入試が始まりますので、残された時間はより短くなります。
残り時間が短くなれば、焦りを感じることも多くなります。
その結果、不適切な教育に足を踏み入れてしまう危険も増えます。
そこで、今回と次回の記事では、前後編に分けて、熱心な教育と不適切な教育との境界線についてお話ししようと思います。
我が子に中学受験をさせる親は、より良い教育を受けさせ、将来の選択肢を広げてあげたいという親心から中学受験を選択される方がほとんどだと思います。
しかし、中学受験界では残念ながら、より良い教育を受けさせるために不適切な教育をしてしまう矛盾がしばしば見られます。
わかっていれば避けられることも多いので、この機に何が不適切な教育に当たるのか知っておいてくださいね。
1.教育虐待とは何か
教育虐待とは「子どもの受忍限度を超えて勉強させること」とされています。近年では勉強だけではなく、スポーツや音楽などの習い事においても、子どもの限界を超えて練習させることは教育虐待にあたるという考えが一般的です。
虐待には、大まかに言って
①身体的虐待
②性的虐待
③ネグレクト
④心理的虐待
の4つのパターンがあります。(参考:児童虐待防止法第2条)
そのうち、教育という名目において行ったことが、①身体的虐待、または、④心理的虐待になっているケースが、教育虐待ということになるのかと思います。
教育虐待の典型例として、「夜遅い時間まで勉強(習い事の練習)することを強要する」「テストで親の要求する点を取れないと暴力をふるう」といったものがありますが、これらは①身体的虐待にあたるでしょう。
また、同じく典型例である、「テストで親の要求する点を取れないと罵倒する」「机や壁を叩いたり、怒鳴るなどの行為で子どもを脅して勉強させる」といったものは④心理的虐待にあたるでしょう。
では、虐待かどうかの線引きはどこなのでしょうか?
「子どもの受忍限度」は本人の年齢・能力・性格・意欲によって差がありますから、一律に決められるものではありません。
そこが、教育虐待かどうかの判断を難しくしています。
親が自覚無く教育虐待をしてしまう原因にもなっています。
例えば、「夜遅い時間まで勉強することを強要する」ですが、「遅い時間」とは何時を指すのかが不明確ですよね。
大学受験をする高校3年生であれば、夜11時まで勉強することは普通にありそうです。
では、高校受験をする中学3年生が夜11時まで勉強するのはどうでしょうか?
中学受験をする小学6年生だったら?
小学校受験をする年長さんに夜11時まで勉強させるのは?
判断はご家庭ごとに分かれます。
そして、「これくらい大丈夫」と思い、「合格させるために」良かれと思ってしたこと・させたことが、虐待になっていたということが起こります。
教育虐待は、私たちが「虐待」という言葉から最初に想像するような、【子どもを愛せない】ことから起こる「ネグレクト」や「身体的虐待」と異なり、親は【子どものため】と思っている場合が多いです。
その大義名分が、超えてはいけない一線を超えさせます。
虐待にあたるかどうかは、子どものためを思っているかどうかとは関係ありません。
子どもを傷つけることになる認識が無くても関係ありません。
結果として子どもの心や身体が傷つく行為は全て虐待です。
私たち大人は、子どもを傷つける行為をしてしまったら、その行為の非を認めて改める必要があります。
