
BS12 トゥエルビ(BS222ch※全国無料)年末の恒例番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」の特番「第9回 輝く!日本カセットテープ大賞」が、12月21日(日)の夜7時より放送される。アイドルグループ・アイドリング!!!のメンバーとして活躍した外岡えりかをアシスタントに、MCのミュージシャンであり、コラムニスト、芸人のマキタスポーツと音楽評論家のスージー鈴木が音楽愛をぶつけ合う。80年代歌謡曲を中心に珠玉の名曲を聴き倒す音楽ファン注目のこの番組の見どころを紹介する。
■名曲の構造を解き明かす音楽バラエティー
「ザ・カセットテープ・ミュージック」は、マキタスポーツとスージー鈴木という音楽愛の深い二人が80年代歌謡曲やJ-POPの名曲を、歌詞、メロディー、コード進行、そして時代背景など、あらゆる角度から徹底的に解剖する音楽バラエティーだ。
懐かしのラジカセとカセットテープが置かれた空間で繰り広げられるのは、音楽理論に基づいたアカデミックな分析と、独断と偏見に満ちたユーモアあふれるトークの応酬である。「カノン進行」「ドラマティックマイナー進行」といった独自の見立てを、誰にでも分かる言葉と笑いに変換し、80年代の名曲がなぜ人の心を掴むのか、その構造を解き明かしていくスタイルが最大の特徴となっている。
アワードのラインナップは「第9回 日本カセットテープ大賞」のほか、「口(くち)ギターソロ賞」「渋谷陽一賞」「平成クラシック・リズム歌謡大賞」などという独特なものばかり。今年ヒットした曲ではなく、マキタスポーツとスージー鈴木が「今、語りたい曲」「再評価すべき曲」を勝手にノミネートし、勝手に表彰するという権威も忖度も一切なしの受賞曲選考。あるのは純粋な音楽愛と、だいぶ深度が深いマニアックさだけ。深夜の部室のような空気感の中で展開される、濃厚すぎる音楽講義こそがこの番組の真骨頂である。

■「口ギター」「渋谷陽一」…独断と偏見に満ちたマニアックな賞
口(くち)ギターソロ大賞…マキタスポーツは「今の時代、ギターソロが全くありがたがられない」と苦言を呈し、「昔はどんな曲でもギターソロが入っていた。ギターソロを楽しんでいた」「ギターが弾けない人は、口でギターソロを歌って楽しんでいた」と熱弁。ここで選ばれたのは、とあるバンドが発表したテクニカルなギターソロが入る名曲だ。独特のリズム“シャッフルビート”がいかに口ずさみやすいかを力説する。
渋谷陽一賞…2025年に逝去した日本のロックジャーナリズムを築いた伝説の音楽評論家を追悼して設けられた賞。ここではある洋楽の名曲と共に、渋谷氏が雑誌のライナーノーツや評論で綴った文体にスポットライトが当てられる。読者を共犯者に仕立て上げ、音楽を言葉で扇動したその手法とは何だったのか。スージー鈴木による渋谷氏が遺した名文の朗読と解説は、ロックという文化が日本にどう根付いたかを解き明かす、文学的かつアカデミックな時間となる。

■大賞に選ばれたのは昭和のお茶の間を沸かせたグループの楽曲
平成クラシック・リズム歌謡大賞…90年代に大流行したリズム歌謡の大ヒット曲に送られる賞。小室哲哉が持ち込んだ最新鋭の“レイヴパーティ”がなぜ日本中で爆発的にヒットしたのか。その要因を、日本人が大好きな「Aメロ・Bメロ・サビ」という構成美から分析する。誰もが知るあのダンスナンバーを選曲しての解説は目から鱗となる。
このほか、80年代のFM雑誌から2026年のJPOPのトレンドを予測したり、最新の朝ドラ主題歌を歌うあの二人組デュオの曲についての特性も分析していく。そして、栄えある「第9回 日本カセットテープ大賞」に選ばれたのは、昭和のお茶の間を沸かせたとあるグループの楽曲。一見するとコミックソングのようなタイトルと歌詞だが、マキタスポーツはその奥底に潜むロックンロールの精神を見逃さない。スージー鈴木、外岡は思わず笑いながらもその的確な論考に納得する。
ラストには、この楽曲のサビのフレーズがまさにこの番組の「大賞」というテーマと奇跡的なシンクロを見せ、マキタスポーツは「令和の夜にこの曲をこんなに評価すことになるとは思わなかった(笑)」と一言。音楽的な深読みと、バラエティー的なオチが見事に融合した「カセットテープ大賞」にふさわしい結末が待っている。

