どこにもあるショッピングモールの魔の構造
綿貫さんが訪れたショッピングモールには、ほかにも男女のトイレの入り口を見張るように通路にマッサージチェアや椅子が置かれていたり、すぐ目の前にエレベーターが設置されている構造もあるようです。普段は便利なはずのこのようなスペースも、同時に危険な側面も抱えているというこの事実。ショッピングモールやスーパーのトイレに関しては、取材を通してほかにもこんな声がありました。
「トイレの近くに足だけ100円のフットマッサージ付きの椅子がある。長時間座っていても違和感がないし、女性用トイレを監視するように座っている男性もいる。疑いすぎかもしれないけれど、腕を組んで薄目をあけて凝視しているその様子は少し違和感がある」(32歳女性)
「比較的建物の出入り口の近くにトイレやこんな休憩エリアが設置されているので、すぐに連れ去りやすい構造も気になる。建物を出たらすぐに屋外の駐車スペースがあったり。心配したらキリがないのは分かっていますが、幼い子が関わる事件をニュースで見るとちょっと不安になります」(34歳女性)
どんな事件や事故にしろ、「まさか自分が」という思いはどなたにもあるはずです。
でもいつ自分が当事者になるか分かりません。「まさか」の事態が、今すぐそこまで迫っているかもしれないのです。
<取材・文&イラスト 青山ゆずこ>
【青山ゆずこ】
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird

