胃潰瘍の受診の目安と検査、診断の流れ

どのような症状が現れたら受診すべきですか?
みぞおちの痛みや胃もたれが数日以上続く場合、または空腹時や夜間に痛みが繰り返し出る場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。特に、黒っぽい便(タール便)、吐血、急な貧血、食後の吐き気、体重減少、食欲不振がある場合は、出血や進行した潰瘍の可能性もあるため、早急な検査が必要です。また、NSAIDsを長期間服用している方や、ピロリ菌感染の既往がある方も注意が必要です。
胃潰瘍が疑われるときに行われる検査方法を教えてください
胃潰瘍の診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が有効です。内視鏡を使って直接胃の内部を観察し、潰瘍の位置や大きさ、深さを確認できます。出血がある場合は、その場で止血処置を行うことも可能です。
検査は同時に胃粘膜の一部を採取して病理検査を行い、がんとの区別を明確にします。さらに、ピロリ菌の有無を調べるために、尿素呼気試験、抗体検査、便中抗原検査などを行うことがあります。
胃潰瘍と診断されたらどのような治療が行われますか?
治療の基本は、胃酸の分泌を抑える薬を用いて潰瘍を治すことです。プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が代表的で、胃酸を抑えることで潰瘍の自然治癒を促します。出血がある場合は、内視鏡的止血処置を行い、重度の穿孔や狭窄があるときは外科的手術が選択されることもあります。
ピロリ菌が検出された場合は、除菌療法を行います。抗菌薬と酸分泌抑制薬を組み合わせ、1週間程度で治療します。除菌に成功すれば再発のリスクが減ります。NSAIDsが原因の場合は、薬の中止や変更を検討し、必要に応じて胃粘膜保護薬を併用します。
編集部まとめ

胃潰瘍は、胃酸やピロリ菌、薬の影響などによって胃粘膜が深く傷つく病気です。初期には軽い胃痛や胃もたれなどの症状しかないこともあり、放置すると出血や穿孔など重篤な合併症を引き起こすおそれがあります。診断には内視鏡検査が欠かせず、治療では胃酸の分泌を抑える薬やピロリ菌の除菌が中心です。薬の自己中断や再感染を防ぐためにも、症状が改善しても定期的なフォローが大切です。
再発を防ぐには、禁煙、節酒、食事のとり方や睡眠リズムの見直しが有効です。特に、痛みが繰り返す、黒い便が出る、食後に吐き気がある場合は早めに受診してください。早期に対応すれば、胃潰瘍は回復をめざせる病気です。
参考文献
『消化性潰瘍診療ガイドライン 2020』(日本消化器病学会)

