舌がんは口内炎と似ており、初期の段階では口内炎と思い込んで放置してしまう人が少なくありません。
口内炎との違いとして真っ先に挙げられるのは、2週間程度経過しても改善の兆候が見られない点にあります。その他にもどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では舌がんと口内炎との違いや、その見分け方・セルフチェックについてご紹介します。治りの遅い口内炎にお悩みの方は、ぜひご覧ください。

監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)
熊谷歯科医院 院長
舌がんとは
舌がんは舌にできるがんであり、口腔がんの一つです。
お口のなかにできるがんを総称して口腔がんといい、口腔がん全体の半数以上を占めているのが舌がんとなります。口腔がんには舌がんのほかに、以下のものがあるため確認をしておきましょう。
歯肉がん(歯茎にできるがん)
口腔底がん(下顎の歯茎と舌に囲まれた部分にできるがん)
硬口蓋がん(上顎にできるがん)
頬粘膜がん
舌がんも含めた口腔がんと診断された人は2019年において24,000人程度とされています。5年相対生存率は2009年〜2011年において男性60.7%、女性69.4%であり、胃がんや大腸がん程高くはないことがわかっています。
がん全体の1%程度にすぎませんが、罹患率は増加傾向にあるようです。また、女性よりも男性に多く見られるがんであり、男女比は3:2となっています。特に50歳以上の男性の割合が高いです。
口腔がんのなかでも舌がんは舌の側面や裏側にできるとされ、舌の先端や中央部分にできることはあまりありません。舌がんの初期症状には痛みがあまり見られず、以下のような症状があります。
舌に固いしこりができる
舌がただれる
舌が動かしにくい
舌にしびれがある
舌の粘膜が赤くまたは白くなる(紅板症と白板症)
口内炎が治りにくくなる
これらのうち、紅板症と白板症は舌がんになる可能性が高いことがわかっています。またこれら症状は口腔がんだけに特徴的なものではないため、口内炎との違いがわかりにくいようです。
ただの口内炎と思い放置していたら、実は舌がんだったということもしばしば起きています。舌がんの原因には以下のものがあります。
過度の飲酒・喫煙
タバコの煙には多くの発がん性物質が含まれており、日本人を対象とした報告では非喫煙者と比べて喫煙者の口腔がん罹患リスクは5.2倍とされています。。
特に喫煙が舌がんの発生原因となることが少なくありませんが、過度の飲酒により発生確率が高まる可能性も指摘されているようです。
予防のためには、喫煙習慣を改善し、節度ある飲酒を心がけるようにしましょう。また、栄養バランスのよい食事や運動習慣・感染予防も大切です。
舌がんであるかどうかを検査する方法としては、視診・触診・超音波検査・細胞診や組織診検査・CTやMRI検査・PET-CT検査・胃カメラ検査などがあります。また治療方法には以下のものがあります。
手術(がんのある部分を手術で除去)
放射線治療
薬物療法
このうち、一般的に行われているのが手術であり、除去する大きさに応じて部分切除術・半側切除術・全摘出術に分かれます。
摘出する部位の大きさによっては、再建手術を行うこともあるようです。患者さんの太ももやお腹・胸・腕などから皮膚や脂肪・筋肉などの組織を採取し移植します。
症状が進行している場合、放射線治療や薬物療法が行われることもあります。
放射線治療では、患部に放射線を当ててがん細胞を破壊・消滅させる治療方法です。放射線治療では副作用が起こることもあるため、詳細については医師へご相談ください。
また、薬物療法は手術や放射線治療の適応がないがんの再発や、遠隔転移が起こった際に行われます。こちらも副作用が起こる可能性があるため、治療について医師へしっかり相談してみるとよいでしょう。
舌がんと口内炎の違い
上述したとおり、舌がんと口内炎は違いが乏しく、一見判断がしづらいです。また舌がんは初期の場合は痛みがほとんどなく、気付くのに遅れるケースもあるようです。舌がんと口内炎の違いについてまとめました。
舌がんの特徴
初期段階では痛みや出血が乏しい
患部とその周りの境目が曖昧
触ると表面がざらざらしていて硬いしこりがある
粘膜が赤くなったり白くなったりする2週間以上経過しても治っていない
進行すると範囲が広がる
舌の動きに制限が生じる
発声や嚥下の障害が現れる
口内炎の特徴
お口のなかに赤く腫れた発疹や腫瘍ができる
患部とその周りの境目が明白
2週間程度で自然に治る
特に舌がんとの違いの手がかりとなるのが、舌がんの場合は2週間経過しても治っていない点です。気になる場合は、早めに耳鼻咽喉科医院や歯科医院を受診しましょう。

