
2025年に開局30周年を迎えたTOKYO MXが、この30年間に放送したドキュメンタリー番組の貴重なアーカイブの中から、世界的な映画監督の吉田喜重氏や河瀬直美氏が手がけた作品など厳選した3本を、2026年1月1日(木)と3日(金)に「TOKYO MX アーカイブセレクション」と題して放送する。
■水都・東京の変遷と人々の暮らしの記憶を描く「新・東京物語」
まず、2026年1月1日(木)昼0時から0時55分は、江戸から東京へ、都市がいかに「水」と共に発展したかをひもとく「新・東京物語」を。
徳川家康による運河整備や日比谷入江の埋め立て、玉川上水の開削など、水利を駆使したインフラ整備の歴史を解説。さらに、松平信綱による舟運や都市改造、安藤広重が描いた水辺の情緒、そして近代の木場や佃島の生活風景を交え、水都・東京の変遷と人々の暮らしの記憶を描いた作品。

■吉田喜重監督が映画の本質を問う「夢のシネマ 東京の夢」
同日昼4時から4時55分は、名匠・吉田喜重監督がTOKYO MXのために製作し、1995年11月1日の同局開局日に放送された「夢のシネマ 東京の夢」。
19世紀末にシネマトグラフの技師として来日し、明治の日本を撮影したフランス人、ガブリエル・ヴェール氏の足跡を辿る。晩年に彼が残したカラー映像を「遺言」と捉え、東京の風景を交錯させながら、撮影する側の“権力”や、被写体から時間を奪う映画の“残酷さ”、そして映画の“本質”について、哲学的・批評的に考察。撮る側と撮られる側が対等である「夢のシネマ」の可能性と、映像が孕む暴力性を浮き彫りにする。ナレーションも監督自身が担当した。

■河瀬直美監督の実験的なドキュメンタリー「風の記憶」
そして、2026年1月3日(土)昼5時から5時50分は、河瀬直美監督がカメラを手に1995年の冬の渋谷を歩きながら、行き交う人々と交流を試みる実験的なドキュメンタリー「風の記憶」。道行く見知らぬ人々に声をかけ、自身の持ち物と相手の持ち物を交換していく。当時の渋谷の空気感と人と人との距離感や関係性を映し出す。
※河瀬直美氏の「瀬」は、正しくは旧字体


