認知症介護、家族のサポートと導入の工夫
編集部
いつから在宅医療を始めるのがよいのでしょうか?
内田先生
「通院が難しくなったら」が一つの目安です。繰り返しになりますが、「通院が難しい」というのは、体が動かない場合だけではなく、外出を嫌がる、受診を拒むといったことも含まれます。通院が本人の負担になっていると感じたら、一度検討してみることをお勧めします。ただ、認知症は進行性の病気なので、診断を受けたときから少しずつ、近隣の在宅医療クリニックを調べるなど、情報収集を始めるのが望ましいでしょう。
編集部
「在宅医療を始めたいけど、どうしたらよいかわからない」というケースもありそうです。
内田先生
まずはお近くの在宅医療クリニックに直接問い合わせてみるのが早いかと思います。在宅医療に対応している医療機関がよくわからない場合は病院の医師や、介護認定を受けている人であればケアマネジャーさんなどに相談してみてください。
編集部
介護保険サービスとの併用も可能なのでしょうか?
内田先生
もちろんです。在宅医療と介護保険サービスは連携して利用できます。訪問看護やヘルパー、デイサービスなどを組み合わせて、患者さんとご家族の生活を支えます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
内田先生
認知症の症状は非常に幅広く、進行のスピードやご家族のサポート体制によっても状況は大きく異なります。そのため「この状態になったら在宅医療を始めるべき」と一概には言えません。排泄が難しくなったり、家族の顔がわからなくなったりといった変化が一つの目安になることもありますが、私は認知症と診断された段階で、まずケアマネジャーや地域の訪問診療医に相談しておくことをおすすめします。「いざというときに頼れる場所を作っておく」くらいの気持ちで、早めに準備しておくと安心だと思います。
編集部まとめ
認知症は進行性の病気であり、気づいたときには通院が困難になっていることも少なくありません。「通院が難しい」と感じた時点で、在宅医療を検討することが本人や家族の安心につながります。診断された段階から少しずつ準備を始め、家族だけで抱え込む前に、専門家へ早めに相談してみてはいかがでしょうか?

