「その腹痛、胆石かも?」今までで一番痛いと感じる激痛の特徴【医師解説】

「その腹痛、胆石かも?」今までで一番痛いと感じる激痛の特徴【医師解説】

胆石による痛みには独特の性質があり、痛みの強さ、持続時間、種類などを理解しておくことで適切な対応につながります。他の腹痛との違いを見極める際にも、これらの特徴は重要な判断材料となるでしょう。疝痛と持続痛の違いや、痛みに伴って現れる随伴症状についても詳しくご紹介します。

齋藤 宏章

監修医師:
齋藤 宏章(医師)

相馬中央病院内科、内視鏡センター医師
福島県立医科大学放射線健康管理学講座博士研究員
【専門・資格】
消化器内科、内視鏡
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓内科専門医、カプセル内視鏡認定医

胆石による痛みの特徴

胆石による痛みには独特の特徴があり、他の腹痛と区別する際の重要な手がかりとなります。痛みの性質や持続時間を理解しておくことで、適切な対応につながります。

痛みの強さと持続時間

胆石発作の痛みは、多くの患者さんが「今まで経験したことのない激しい痛み」と表現されるほど強烈です。痛みの強さは個人差がありますが、一般的には突然始まり、数分で強度に達します。この急激な痛みの出現は、胆石が胆のうの出口である胆のう管に詰まり、内圧が急上昇することで生じます。
持続時間については、通常30分から数時間続くことが多いとされています。長い場合には6時間以上持続するケースも報告されており、その間は動くこともままならない状態になることがあります。痛みは一定の強さで続くこともあれば、波のように強弱を繰り返すこともあります。
痛みが治まった後は、何事もなかったかのように日常生活に戻れる場合もありますが、これは石が再び安定した位置に戻ったか、一時的に詰まりが解消されたためです。しかし、治まったからといって放置すると再発のリスクがあり、また炎症が進行している可能性もあるため、医療機関での診察を受けることが推奨されます。

痛みの種類と変化のパターン

胆石による痛みは、大きく分けて「疝痛(せんつう)」と「持続痛」の2種類に分類されます。疝痛は、間欠的に襲ってくる激しい痛みで、内臓の平滑筋が痙攣することで生じます。一方、持続痛は炎症が進行した際に見られる、継続的な鈍い痛みです。
初期段階では疝痛が主体ですが、胆のう炎を合併すると持続痛へと変化していきます。この変化は、急性の閉塞から炎症性の病態へと進行していることを示唆しており、医学的には重要なサインとなります。疝痛だけの段階では保存的治療で経過を見ることもありますが、持続痛が現れた場合は入院治療が必要になることも少なくありません。ただし、痛みのパターンだけで病態を判断することは難しく、医師による総合的な診断が欠かせません。
また、痛みに伴って現れる随伴症状にも注目する必要があります。吐き気や嘔吐は胆石発作の典型的な症状ですが、これに発熱が加わった場合は炎症の進行を示します。さらに、皮膚の黄ばみや尿の色が濃くなるといった黄疸の症状が見られる場合は、胆管結石の可能性があり、より緊急性の高い状態といえます。

まとめ

胆のう摘出術を受けた後も、胆管結石が新たに形成される可能性があるため、定期的なフォローアップが必要です。特に術後に消化器症状が続く場合や、異常な腹痛が生じた場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。
胆石は適切な知識と対応により、重症化を防ぐことが期待できる疾患です。右上腹部の痛みや食後の不快感といった初期症状を見逃さず、早めに消化器内科や消化器外科を受診することが重要です。生活習慣の改善により予防も期待できますので、定期的な健康診断を受けながら、自身の健康管理に努めることをおすすめします。気になる症状がある場合には、ためらわずに専門医に相談してください。

参考文献

日本消化器病学会「胆石症診療ガイドライン2021」

日本肝胆膵外科学会「胆石症の診断と治療」

配信元: Medical DOC

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