2014年、69年ぶりに日本でもデング熱の感染例が報告されました。近年日本国内での感染者はいませんでしたが、全世界でみると毎年1億人もの人が感染しています。
2020年にも再び感染例が報告されています。日本ではそこまで感染は広がっていませんが、いつまた流行するか分かりません。
万が一、感染しても慌てることがないようにデング熱の診断と治療方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「デング熱」とは?症状・感染経路・治療法も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
デング熱の診断と治療方法

デング熱の診断について教えてください。
インフルエンザと似たような症状が出るため、症状が出たときは注意が必要です。海外で蚊に刺されることがあり、帰国後インフルエンザのような症状が出た場合はできるだけ早くお近くの医療機関へ行きましょう。
病院ではまず海外へ行ったかどうかをもとに判断します。熱帯・亜熱帯などの流行している場所へ行ったことがあり、次のような症状が当てはまる方は検査を行います。
熱が出ている
白血球・血小板が減っている
検査内容については次の項目で詳しく解説します。
どのような検査を行うのでしょうか?
主に次の3つの検査が行われます。
PCR検査
NS1抗原検査
IgM測定検査
これらの検査を元に病原体がないかなどを調べます。
NS1抗原・IgM測定は保険適用外となりますので注意してください。重症化し入院が必要になった場合は保険適応となります。
治療方法がないと聞きましたが…。
デングウイルスに効果がある薬がないため、対症療法となります。
熱を下げるための薬にはさまざまなものがありますが、含まれている成分によっては重症化することもあります。そのため、解熱剤としてアセトアミノフェンが使われていることが多いです。
先ほどインフルエンザと似ているとお話ししましたが、インフルエンザや風邪と勘違いして市販の解熱剤を服用するととても危険です。まずはお近くの医療機関を受診するようにしましょう。
デング熱は死亡率が高いのでしょうか?
2016年に発表されたデング熱の感染例では残念ながら、お亡くなりになられています。そのニュースを覚えている方などはとくに気になるのではないでしょうか。
しかし大人の方の死亡率はそこまで高くありません。致死率は1%未満とされ、重症化して入院が必要となった場合も致死率は2~5%となっています。重症化しているのに適切な治療を受けなかった場合、致死率は40~50%と大幅に上がってしまいます。
出血や胸・腹などに水が溜まるなどの症状が出た場合は死亡することもありますので、注意が必要です。15歳以下の子どもによく見られる症状ですので、気を付けましょう。「ただの風邪だろう」と軽く考えず、熱などの疑わしい症状が出たときは医療機関を受診することが大事です。
編集部まとめ

デング熱についてみてきましたが、症状などをみるとインフルエンザととても似ていることが分かります。そのため、見落としてしまう可能性も高いです。
重症化するリスクは低いですが、それでもしっかりと検査してもらうことは大事です。
・流行している場所へ行った
・蚊に刺されてから症状が出た
これらに心当たりがある場合は迷わず、お近くの医療機関を医療機関を受診した方が良いでしょう。
デング熱の場合は赤い発疹も出るので、発疹の有無も見分けるポイントとなります。
参考文献
デング熱に関するQ&A(厚生労働省作成)|日本医師会
「デング熱」にご注意を!予防策は「蚊に刺されない」「蚊を発生させない」|政府広報オンライン
デング熱についてご説明します|福井県

