「精神疾患があると医療保険に入れない」と聞いたことはありませんか? 精神疾患の診断歴があると、一般的な医療保険への加入が難しくなるケースがあるようです。そこで、保険に入れない場合の医療費負担と対策について、関谷秀子先生(初台クリニック)に解説してもらいました。

監修医師:
関谷 秀子(初台クリニック)
東京女子医科大学卒業。法政大学現代福祉学部教授。初台クリニック(東京・渋谷区)院長。前関東中央病院精神科部長。2020年に「不登校、うつ状態、発達障害- 思春期に心が折れた時 親がすべきこと-」を出版。医学博士。精神保健指定医。日本医師会認定産業医。日本精神神経学会精神科専門医・指導医。日本児童青年精神医学会認定医。日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー。
編集部
保険に入れないと、医療費の負担が心配です。
関谷先生
精神疾患で通院しているのに、医療保険の保障がないとなると、経済的に不安ですよね。しかし、医療保険に入れない場合でも、公的な制度を活用すれば治療費の負担を軽減できます。例えば、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると、通院費が軽減されます。これは、指定した精神疾患の治療などを受ける際に、医療費の自己負担割合が原則1割になるというもので(所得により上限あり)、自治体での手続きが必要になります。
編集部
そういった制度が利用できるのですね。
関谷先生
ほかにも、国民健康保険の高額療養費制度なども利用できます。これは、1ヶ月(1日〜月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、 一定の金額を超えた分があとで払い戻される制度です。年齢や所得によって対象となる自己負担額が変わりますので、こちらも市町村窓口などで確認してみてください。
編集部
最後にメディカルドック読者へのメッセージをお願いします。
関谷先生
精神疾患があると、医療保険への加入が限られたもののみになってしまうことが多いようです。しかし、全く加入できないわけではありません。医療保険以外に使える制度としては、先ほど紹介したもののほかにも、精神障害者保健福祉手帳制度によるサポートもありますので、主治医に確認してみましょう。なお、ここでお伝えした内容は、あくまで現時点でのものであり、この先変化していくこともありますので、利用を検討する際にはその都度ご確認をお願いします。
※この記事はメディカルドックにて<精神疾患があると医療保険に入れないってホントですか?【医師に聞く】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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