クリスマス定番人気の「シャンメリー」大手企業が作れない“意外な法律”とは

クリスマス定番人気の「シャンメリー」大手企業が作れない“意外な法律”とは

●具体的にどのような規制がされているのか?

ただし、法律の条文の中に「シャンメリー」や「ラムネ」といった具体的な品名が明記されているわけではありません。

これらは、全国清涼飲料協同組合連合会と全国清涼飲料工業組合連合会という業界団体が1977年以降「中小企業分野宣言」を行うことで、事実上の対象品目として扱われています。「宣言」を行っている対象品目は以下のとおりです。

1)ラムネ 2)シャンパン風密栓炭酸飲料(シャンメリー) 3)びん詰コーヒー飲料 4)びん詰クリームソーダ 5)ポリエチレン詰清涼飲料 6)焼酎割り用飲料

●国による「勧告」や「命令」の仕組み

もし大企業がこれらの分野に強引に参入しようとした場合、法律上どのような措置がとられるのでしょうか。

同法第6条では、大企業の事業開始や拡大によって中小企業の経営の安定に著しい悪影響が及ぶおそれがある場合、中小企業団体は主務大臣に対して「調整の申出」を行うことができると定めています。

この申出を受けた国(主務大臣)は調査を行い、必要があると認めれば、同法第7条に基づき、大企業に対して参入時期の繰り延べや規模の縮小などを「勧告」します。これは行政指導にあたります。

もし正当な理由なくこの勧告に従わない場合、国はその事実を公表することができます。

公表されてもなお従わず、中小企業の利益が著しく害されるおそれがある場合(条文上は「中小企業者の相当部分の事業の継続が著しく困難となるおそれがあると認められるとき」)には、同法第11条に基づき、勧告にかかる措置をとるよう「命令」を出すことができます。

この命令に違反した場合には、同法第16条により300万円以下の罰金が科されるという罰則も設けられています。

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