これは友人Aが話してくれたことです。半年前、1歳の娘がいる友人A宅の隣にB一家が引っ越してきました。子どもたちの遊び場は、自宅前の道路。Bが住み始めてから、時間帯問わず、兄弟の奇声やボールの音が響き渡り、Aをはじめ近隣住民は少し迷惑に感じていました。そんなある日、いつものようにB家族が道路でボール遊びをしていると、恐れていたことが起きてしまい……。
謝罪するどころかなぜか責めてくる親…
4歳と8歳の男の子がいるB一家。B宅の庭は、思いきり遊べる広さがなく、コの字型をした分譲地で車がほとんど通らないため、A、B宅前の共有道路はB一家の遊び場と化しました。
それから、休日の早朝6時ごろから、平日の夜遅く20時ごろまで、B一家の兄弟の奇声やボールの音が響くように。静かだった暮らしが一変、窓を開けていると夜は食事中の会話が所々聞こえないぐらい、朝も寝ていた1歳の娘が起きてしまうほどのうるささに頭を悩ませるようになりました。Aは、車にボールやおもちゃをぶつけられるのではないかと落ち着きません。
そんな生活が始まってからしばらくして、B宅の玄関前にバスケットボールのゴールが設置されました。近所の人から聞くには、B家の長男がバスケットボールのスポーツ少年団に入団したよう。それ以来、道路でバスケの練習がスタートし、小刻みなドリブルの音が長時間響いて迷惑に感じるようになったのです。
ある日の夕方、Aが玄関先で作業をしていると「やばい!」という声と同時に車のほうから「ドン」と鈍い音がしました。見に行くと、どうやらバスケットボールがAの車に当たったようです。しかし、B一家の母親はヘラッとして「ごめんなさーい」と軽く謝罪するだけで、ボールを当てた本人は知らん顔。
幸い、車に傷はなかったもののその態度にイラッとしたAは意を決し、「わざとでなくても、車に当てられていい気はしないし、毎日ドリブルの音が長い時間響くのでもう少し配慮してもらえませんか」と伝えたそう。すると、母親の目つきが険しくなり「は? この子の頑張りを無駄にするつもり?」と逆ギレしてきたのです。
Aは、まさかの反論にあぜんとしつつも「お子さんの頑張りはすばらしいと思いますが、人の車にボールを当てても謝らないのは人として間違ってるのでは?」と、冷静に伝えたそう。母親は腕を組み「ふーん。車に傷がつくのは嫌なのに、カーポートつけてないじゃない。自己責任じゃない? それに、うちの子はバスケの練習を頑張らないといけないし、下の子も元気に遊びたいの。あなたの子もしばらくすれば、うるさくするでしょ」と言い放ったのです。
まさかの責任転嫁と、無理やりすぎる「お互い様精神」の押し付けに返す言葉を失っていると、そこに「ちょっといいですか」と、2人の警察官と近所の人がきました。どうやら、B宅のことを普段から迷惑に思っていた近所の人が通報したよう。Bの母親は顔を真っ青にします。
AとBそれぞれの話を聞き終わった警察官は、「うーん。自宅の前と言えどやはり道路は危ないですし、大きな声やボールの音も常識的な時間帯以外に響くのは迷惑ですよね。しかも、今Aさんと揉めてたように見えましたが? もう少し皆さんが気持ちよく暮らすためにもBさんは配慮が必要ですね」とはっきり言いました。するとB一家の母親は、冷や汗をかきながら「わかりました。すみませんでした。失礼します」と子どもたちと足早に家へ入っていったのでした。
その後、警察官の言葉のおかげかB一家は自宅前で遊んだりバスケの練習をしたりする時間が短くなったそう。休日は少し離れた広い公園に行っているようで、A一家には平穏な生活が戻りました。
もちろん、子どもたちが好きなことや夢のために一生懸命なのはいいことだと、Aも私も思います。しかし、他人に迷惑をかけないようにする、もし迷惑をかけたときは誠心誠意の謝罪をするなどのマナーやモラルは、どんなときも必要だと感じました。B一家を反面教師に、常識を逸脱しないよう、マナーやモラルを守る姿勢をきちんと示しつつ、子どものしたいことを応援できる親であろうと心に決めた出来事でした。
著者:山崎はる/30代・ライター。6歳の男の子と2歳の女の子の元気いっぱいな兄妹を育てるママ。共働き夫婦だが、夫の激務でほぼワンオペ状態。家事と育児、仕事の疲れは、大好きなどら焼きを食べて癒している。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)

