以前、私が父の介護をしていたころのことです。認知症を患う父は、日中は落ち着いて過ごせていたため、深夜にまさかの出来事が起こるとは思いもしませんでした。あの日の恐怖と衝撃は、今でも忘れられません。
深夜の異変に気付いた瞬間
冬の深夜、ふと目が覚めた私は、居間にいたはずの父の姿が見えないことに気づきました。玄関の鍵はたしかに閉めていたので外出の心配はしていませんでしたが、家の中を確認すると、勝手口が開いており、そこから外へ出てしまったことがわかりました。
急いで上着を羽織り、真夜中の住宅街を探し回りました。父の名前を呼びながら歩くうちに、焦りと恐怖で胸が締めつけられるようでした。
警察からの連絡と安堵
必死に探しても父は見つからず、頭の中は最悪の想像ばかりがよぎりました。そんなとき、警察から「お父様を保護しています」と連絡が入りました。父はパジャマ姿のまま、地域の国道沿いを歩いていたところを通行人に見つけられ、通報していただいたとのことでした。
無事であると知った瞬間、安堵のあまりその場に立ち尽くしました。同時に、これまでどこか他人事のように思っていた「徘徊」という出来事が、ついに自分の家庭に現実として起こったことに強い衝撃を受けました。

