太一の毅然とした態度が義母の心に届き、近隣の事例もあって義母から謝罪が。義母はイベント当日の介入をやめ、「見守る」立場に徹するようになり、家族に新たな変化が訪れました。
義母に気持ちは届いたのか…
太一くんが義母と電話で話をした後、受話器を置いた彼の顔は、少し疲れていましたが、どこかスッキリした表情をしていました。
「...どうだった?」 私は恐る恐る尋ねました。
「最初は怒鳴られたよ。孫を可愛がっちゃいけないのか!って。でも、俺たちの正直な気持ちを伝えたよ」
電話では根負けした義母が「もういいわよ」と電話を切ってしまったようで、思いがきちんと伝わったのか正直心配でした。
義母が謝罪をした理由
それから1週間。私宛に義母から連絡がくることはなく、このまま険悪になるのではないかと少し心配していました。しかしある日、太一くんは、仕事から帰ってくるなり笑顔で私に報告をしてくれたのです。
「芹那、義母さんから、素直な謝罪があったよ」
「え...!?」
予想外の展開に、私は目を見開きました。あの、頑なで、自分の善意が正しいと信じて疑わない義母が、謝罪...?義母からきたというメッセージを見てみると、そこにはこう書いてありました。
「ごめんなさい。孫に会いたい一心で、空回りしていたのね。芹那ちゃんにもイヤな思いをさせてしまったわ」
私は思わず涙が溢れました。太一くんが、私の気持ちを代弁して、真正面から義母と向き合ってくれたからこそ、義母の心にも届いたようです。太一くんがこのメッセージを受けて義母に電話をかけたところ、義母は心変わりの理由も教えてくれたといいます。
「近所の仲がいい人にこの間の俺との話を相談したら、その人も同じ状態になったことがあるらしいんだ。その人は嫁に嫌われて、孫になかなか会えなくなったらしくてね。『首をつっこみすぎたらダメ』って、忠告してもらったらしい」
「そうなんだ…太一くん...ありがとう」
私は心からの感謝を込めて、太一くんに伝えました。
「いいんだよ、芹那。家族の行事は、俺たち夫婦が、一番に楽しむ権利があるんだもんな」
その一言が、私の胸に深く響きました。そうだ、家族の行事は、私たちのもの。

