「生の上戸彩だ!」芸人も視聴者も沸かせる理由
上戸彩さんクラスの国民的トップ女優がいることで、大会そのものの格を保つ上で説得力を持つものです。それは普段バラエティ番組にはあまり出演しないものの、圧倒的な知名度と人気を誇る女優だからこそできる役割ではないでしょうか。実際にネタを終えて司会とトークをする決勝出場芸人が、「生の上戸彩さんだ!」と興奮気味に語るシーンもM-1では珍しくありません。また、芸人のネタ中に上戸さんがニコニコと笑っている映像が映されることで視聴者も反応。昨年のM-1放送中にはXで「上戸彩かわいすぎる」というトレンドワードも飛び出し、大会を盛り上げる1つの要素にもなっていることがうかがえます。
M-1初期の女性司会者たちは当時20代前半が多かったものの、上戸彩さんは今年40歳。若手女優のようなキャピキャピとした初々しさがないからこそ、大会のゴージャス感が演出されており、一方でアラフォーになってもなお美しさや可愛らしさが健在な上戸さんがM-1の司会に欠かせない存在となっていることは明白です。
「笑いを語らない」からこそ信頼される司会術
また、本番中の上戸さんの淀みのない司会進行ぶりはもちろん、芸人に対してとてもフラットで適度な距離を持つ振る舞いもM-1司会者として適任と言えます。本番中や他のメディアでも「誰が優勝すると思うか」「どんな芸人が好きか」といった自分の趣味や趣向、意見を言わない徹底ぶり。ネタを終えた芸人を変にイジったり、笑いを取るために絡んだりすることはもちろんなく、今田さんとの適度な掛け合いにとどめて、あくまで大会に華を添える司会という役割を全うしているのです。この「笑いを語らない」というスタンスこそ、上戸さんが制作サイドからも信頼されて司会に抜擢され続ける所以ではないでしょうか。たとえば、17年間もM-1の司会をしていれば、相当にM-1やお笑い、芸人たちに詳しくなっているはず。それにもかかわらず、お笑い好きを公言することもなければ、舞台袖での芸人の姿やCM中の審査員たちの会話などの裏話をどこかで語ることもありません。
ここまでM-1にどっぷり関わっている演者であるにもかかわらず、他の番組でも上戸さんにM-1の話題が振られてトークが繰り広げられることもないというのは、なかなか稀有な存在でしょう。
一方で司会中にお笑いに関して的外れな発言やその場の空気を読めていない感想などは絶対に言わず、「面白かったです」「(コント漫才のネタについて)想像しちゃいましたね」といったコメントができるバランス感を持ち合わせている。可愛らしいビジュアルと司会の上手さ、そしてなによりも大会やお笑いに対するリスペクトから“邪魔をしない”スタンスの徹底によって、「M-1の司会は上戸彩しか考えられない」というM-1のファンも多いです。
今年のM-1も上戸彩さんの存在が大会の格を上げてくれることは間違いないでしょう。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中

