糖尿病の種類ごとに適した運動方法は異なります。1型糖尿病患者には、有酸素運動やレジスタンス運動が適しており、血糖コントロールの補助的な役割を果たします。2型糖尿病患者には、有酸素運動や筋力トレーニングに加え、座位時間を減らす取り組みも有効です。一方、妊娠糖尿病患者には、中強度の有酸素運動が推奨されますが、産科的状況に応じて医師の指示を仰ぐことが重要です。この記事では、糖尿病の種類に応じた運動療法の特徴とポイントを理学療法士の河江さんが解説します。

監修理学療法士:
河江 敏広(理学療法士)
東都大学幕張ヒューマンケア学部理学療法学科准教授として理学療法士の育成に従事し、同時に糖尿病の運動療法に対する研究も数多く行っている。日本糖尿病理学療法学会副理事。Asian Association for the Study of Diabetes、American Diabetes Association、日本糖尿病協会、日本リハビリテーション医学会に所属。
編集部
糖尿病の種類ごとに適した運動について教えてください。まずは1型糖尿病からお願いします。
河江さん
2型糖尿病ほど運動療法が血糖コントロールに有益な影響を及ぼすかはいまだ明らかにはなっていませんが、1型糖尿病患者に適した運動としては有酸素運動、レジスタンス運動(筋力トレーニング)が考えられます。
編集部
2型糖尿病患者に適した運動は何ですか?
河江さん
2型糖尿病患者に適した運動としては、有酸素運動とレジスタンス運動が挙げられます。さらに、2型糖尿病患者においては座位時間を減少させることも運動の手段の1つですね。有酸素運動はウォーキングやサイクリングなどがあり、レジスタンス運動はスクワット、フリーウエイトやマシーンを用いた筋力トレーニングなどが挙げられます。また、座位時間を減らすことについては、パソコンを見ることやテレビを見るなど、座位で行う不活動時間を減らす取り組みを指します。有酸素運動やレジスタンス運動の時間が確保できない場合や、積極的な運動療法が出来ない高齢者には有効な運動手段となります。
編集部
妊娠糖尿病患者に適した運動についても教えてください。
河江さん
妊娠糖尿病においては有酸素運動が推奨されており、頻度は週2〜3回以上、運動強度は中強度(運動中に会話ができる程度)、持続時間は20〜30分とされています。しかし、産科的合併症の状態によってはこの限りではないため、産婦人科医の指示のもと運動を行うことが理想的です。以上の運動を行うことで空腹時血糖や食後血糖が低下することが証明されています。
※この記事はメディカルドックにて【糖尿病の運動療法は原因によって内容が変わる? 糖尿病の分類と運動について理学療法士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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