3歳の息子が、皮膚の疾患を治療するために皮膚科を受診したときのことです。治療は痛みを伴うものでしたが、息子は3歳ながら必死に耐え、最後まで頑張り抜きました。そんな息子の姿を見て、私はある“ご褒美”を提案。しかし、それがまさかあのような事態を招くことになるとは、当時は想像もしていませんでした。
頑張った息子へのご褒美
治療の最中、何度も大粒の涙を流しながらも「頑張る」と口にし、決してリタイアしなかった息子。その健気な姿と成長ぶりに、私は親として胸がいっぱいになりました。
無事に治療を終えたあと、「本当によく頑張ったね! 偉かったから、自販機で好きなジュースを買っていいよ!」と伝えると、息子はパッと表情を輝かせました。
病院をあとにしながら、「頑張ったからジュース!」とすっかりご機嫌な様子の息子。そのすぐ後ろには、息子と同じくらいの年齢の子を連れた親子が歩いていました。
「買う、買わない」でピリついた空気に…
病院を出てすぐの自販機前で立ち止まり、息子とジュースを選んでいたときです。後ろにいた男の子が、わが家の様子を見て「ぼくもジュース……」とポツリ。すると、その子のママが「買わないよ」と即座に拒否し、連れて行こうとしました。しかし男の子は「ぼくも頑張ったもん!」とママに食い下がります。
申し訳なさを感じつつ、そっと後ろを振り返ると、相手の母親はかなりのイライラを隠せない表情。背後で「買わない!」「買って!」という激しい攻防が繰り広げられるなか、私はいたたまれない気持ちでジュースを購入しました。
すると、取り出し口からジュースを取ろうとしたその瞬間。
背後から、小さな声で「余計なことして……めんどくさい、どうすんだよ……」という冷ややかな言葉と、舌打ちが聞こえてきたのです。

