炎症性乳がんの前兆となる初期症状
炎症性乳がんは悪化するスピードが速く、初期には炎症に似た急速な変化が現れます。
乳房の急な赤み
乳房の皮膚の広範囲または全体が急に赤くなり、数週間から数ヶ月で急速に広がることがあります。初期の段階では乳腺炎と見分けることが難しい場合もありますが、授乳期でもないのに急な赤みを認めた時には、乳腺科で詳しく調べる必要があります。
乳房の腫れ
乳房全体が腫れて、大きくなることがあります。一般的な乳がんのような「はっきりとしたしこり」を自覚することは少なく、乳房全体の厚み、硬さや重だるさに気がつくことが特徴です。このような違和感があれば乳腺科を受診しましょう。
乳房の熱感
乳房に熱を帯びたような感覚を自覚することがあります。良性の病気である乳腺炎でも同じような症状が出ますが、乳腺炎では抗生剤で症状が改善するのに対し、炎症性乳がんでは改善しません。抗生剤を飲んでも症状が良くならない場合は、速やかに乳腺科に相談しましょう。
炎症性乳がんの原因
炎症性乳がんの直接的な原因はまだ完全には解明されていません。ここでは一般的な乳がんのリスク要因についてご紹介します。
生活習慣
閉経後の肥満は乳がんの原因となると報告されています。また、過度な飲酒や運動不足もリスクを高めることが研究で示されています。食習慣や運動習慣に気をつけ、適正な体重を維持することが予防の観点では重要です。
女性ホルモン(エストロゲン)への長期間の曝露
エストロゲンにさらされている期間が長いほど、乳がんのリスクが高くなります。具体的には「月経のある期間が長い(初経が早い・閉経が遅い)」「出産や授乳経験がない」などが要因となります。また、ホルモン補充療法やピルの長期間使用も、わずかながらリスクを高める可能性があります。
遺伝的要因
乳がん全体の約5〜10%は遺伝性とされています。血縁者に乳がん患者がいる場合、リスクは2倍以上になるというデータもあります。特に「BRCA1/2遺伝子」に病的バリアントがある場合は、乳がんや卵巣がんのリスクが高まります。一定の条件を満たせば、保険適応で遺伝子検査を受けることも可能です。

