メラノーマの疑いがある病変では、時間とともに特徴的な変化が現れることがあり、これらの危険信号を早期に察知することが適切な対応につながります。短期間での急速な変化や、表面に生じる出血やただれといった目に見える変化は、特に注意が必要なサインです。ここでは具体的な危険信号とその意味について詳しく説明します。

監修医師:
本木 智輝(医師)
新潟大学卒業
日本医科大学皮膚科助教
色や形の変化から見る危険信号
メラノーマの疑いがある病変では、時間とともに特徴的な変化が現れることがあります。これらの変化を早期に察知することが、適切な対応につながります。ここでは具体的な危険信号について説明します。
短期間での急速な変化
メラノーマの重要な特徴の一つに、短期間での急速な変化があります。良性のほくろも加齢とともにゆっくりと変化することはありますが、メラノーマほど急速な変化を示すことは少ないとされています。特に成人以降、それまで変化がなかった病変が急に変わり始めた場合は、早めの受診が推奨されます。
大きさについては、数週間で明らかに大きくなったと感じる場合や、周囲の人から指摘される場合は要注意です。また、平坦だった病変が盛り上がってきたり、表面の性状が変わってざらざらしてきたりする変化も重要なサインといえます。
色の変化では、全体的に色が濃くなる場合だけでなく、一部だけが黒くなったり、逆に色が抜けて白っぽくなったりする変化も認められることがあります。色のむらが出てきた場合も注意が必要です。
出血やただれといった表面の変化
メラノーマが進行すると、皮膚の表面に目に見える変化が現れることがあります。病変の表面がただれて潰瘍を形成したり、少しの刺激で出血しやすくなったりする状態は、進行のサインとして重要です。
良性のほくろは通常、表面が滑らかで出血することはありません。服に擦れた程度で出血する、かさぶたができて治りにくいといった症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
また、病変の周囲に小さな衛星病変と呼ばれる色素斑が散在するようになったり、病変から離れた部位に色素沈着が広がったりする場合も、進行を示唆する所見です。
皮膚の表面が湿潤してじくじくしている、浸出液が出ているといった状態も、通常のほくろでは見られない変化です。痛みやかゆみを伴うこともありますが、これらの症状がなくても表面の変化が見られる場合は注意が必要です。
このような表面の変化は、メラノーマがある程度進行している可能性を示唆するため、できるだけ早く皮膚科の専門医による診察と適切な検査を受けることが重要です。
まとめ
メラノーマは早期に発見できれば治療可能な疾患です。自覚症状に乏しく見逃されやすいという特徴を持つメラノーマですが、皮膚の変化を注意深く観察し、少しでも気になる点があれば専門医に相談することで、早期発見につなげることができます。爪の縦線や皮膚のほくろの変化、特に短期間での急速な変化や出血といった症状は重要なサインです。ABCDEルールを参考にしながら定期的に自己観察を行い、見えにくい部位は家族の協力を得て確認することが推奨されます。紫外線対策などの予防とともに、リスク因子を持つ方は定期的な専門医による検診を受けることで、メラノーマの早期発見と適切な治療につなげていきましょう。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス「皮膚がん」
日本皮膚科学会「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」
日本皮膚悪性腫瘍学会
慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト「メラノーマ(悪性黒色腫)」

