「認知症による中核症状の治療」は何を目的に行われる?【医師解説】

「認知症による中核症状の治療」は何を目的に行われる?【医師解説】

「周辺症状」とは?

中核症状を土台として、ご本人の性格や環境、心理状態などが影響して現れる二次的な症状です。「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。
重要なのは、BPSDの背景には、ご本人の不安だけでなく、身体的な苦痛(痛み、かゆみ、便秘など)や、環境への不満、不適切なケアなどが隠れていることが多いという点です。
なので周辺症状が見られたら、必ず原因を考えて見てください。

認知症による中核症状の治療法

認知症の治療は、症状の進行を緩やかにし、穏やかな生活を続けることを目的とします。特にBPSDへの対応には重要な原則があります。

治療の基本方針:第一選択は「非薬物療法」

周辺症状(BPSD)への対応は、まず薬を使わない「非薬物療法」が第一選択です。
なぜなら、BPSDの多くは身体的な苦痛や不快な環境が原因であり、それらの原因を取り除くことで症状が改善することが多いからです。ケアの方法を見直したり、ご本人が安心できる環境を整えたりすることが、何よりも大切なのです。
具体的な非薬物療法には、昔を懐かしむ「回想法」、歌や演奏を楽しむ「音楽療法」、体を動かす「運動療法」などがあります。ご本人が「楽しい」と感じられる活動を通じて、心の安定を図ってみましょう。

薬物療法についての考え方

薬物療法は、あくまで補助的な手段です。
薬の種類によって目的が異なります。

①中核症状に対する薬(抗認知症薬)

専門医が処方する抗認知症薬には、記憶障害などの進行を一定期間遅らせる効果が期待できます。

②周辺症状(BPSD)に対する薬(向精神薬など)

こちらは特に慎重な使用が求められます。
非薬物療法で対応が困難で、ご本人や周囲の苦しみが著しい場合に限り、専門医が検討します。なぜなら、これらの薬には転倒やふらつき、認知機能の悪化、食べ物の飲み込みが悪くなる(嚥下障害)といった副作用のリスクがあるためです。
安易な使用は避け、薬物療法を開始する場合も、その利益が危険性を上回るか慎重に判断しながら投薬します。

配信元: Medical DOC

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