見つかりにくいがんとどう向き合うか
編集部
一般的な健康診断で見つけにくいとされる理由について教えてください。
澤野先生
多くの健康診断では腹部エコー検査や血液検査をおこないますが、膵臓は体の奥深くに位置するため、胃や腸のガスに邪魔されて画像が不鮮明になりやすい臓器です。また、早期の膵臓がんを示す特異的な腫瘍マーカー(血液検査で測る指標)も存在しません。一般的に使われるマーカーも、進行してから上昇することが多く、早期発見には不向きです。CT検査やMRI検査であればより詳しく調べられますが、費用や時間の問題から通常の健診には含まれていません。このため、異常が見つかってから精密検査をおこなう流れが一般的です。
編集部
膵臓がんになりやすい人となりにくい人の特徴はありますか?
澤野先生
膵臓がんは50歳以降の中高年に多く、特に糖尿病や慢性膵炎のある方、喫煙習慣や多量の飲酒習慣がある方はリスクが高いとされています。家族に膵臓がんの既往がある場合も注意が必要です。また、肥満や膵臓に嚢胞(水がたまった袋)がある方も定期的な経過観察が推奨されます。一方、リスクを下げるためには禁煙や適度な運動、バランスの良い食事、適正体重の維持が大切です。これらのリスク因子を複数持つ方は、通常の健診に加えて年に一度は腹部MRI検査や造影CT検査など、より詳しい画像検査を受けることが早期発見につながります。
編集部
膵臓がんを早期に発見するために、自分自身でできることはありますか?
澤野先生
膵臓がんを完全に防ぐことは難しいですが、早期に気づくための意識を持つことは大切です。食欲不振や理由のない体重減少、背中や腰の鈍い痛み、原因不明の糖尿病発症や悪化など、小さな体の変化にも注意を払いましょう。特に50歳以降で急に糖尿病と診断された場合は要注意です。また、脂っぽい便が出る、尿の色が濃くなるといった症状も見逃さないでください。健診で異常を指摘された場合や不安な症状がある場合は、様子を見ずに消化器内科や膵臓疾患の専門医がいる医療機関で早めに相談することをおすすめします。
編集部まとめ
膵臓がんは発見が難しい病気ですが、リスク因子を知り定期的に検査を受けることで早期発見の可能性を高められます。糖尿病の悪化や体重減少など、体からの小さなサインも見逃さないことが大切です。本稿が読者の皆様にとって、膵臓がんへの理解と早期受診のきっかけとなりましたら幸いです。

