
出身地の違う人とおせち料理を作ったり、郷土料理の店でおせちをいただいたりするとき、「え!これもおせち料理なんだ!」と驚くことはありませんか? 山海の幸に恵まれた日本列島には、各地に「ご当地おせち」ともいうべき料理があります。そこで、かまぼこなどの練り物で有名な「紀文」の調査を元に、4種類のご当地おせちレシピを紹介しましょう。材料が少なく、カンタンに作れて、お重の中で映えるものをセレクトしたので、ぜひ今度のお正月に向けて作ってみてくださいね!
各地のおせちは素材のバラエティが豊富で煮ものが多い
紀文は1979年から、正月やおせち料理に関する調査を始めました。長年の膨大なデータを分析していくと、地域性が浮かびあがってきたそうです。そこで、正月料理の地域性をわかりやすく示すために、2010年、伝承料理研究家である奥村彪生先生に協力をいただき、全国の郷土おせち83点の料理名とその特徴を発表しました。さらに、その軌跡を形に残したいという思いから、2024年、現代でも再現可能な料理、全国の人たちに食べてもらいたい料理を、江上料理学院の副院長である江上佳奈美先生とともに厳選。各都道府県で代表的なものを再現しました。
江上先生はこう話します。
「奥村先生に教えていただいた伝統料理は、一部の地域で受け継がれてきた個性的なものも多く、年とり魚(大晦日に食べる特別な魚)や地元野菜を使った料理など素材もバラエティに富んでいて、面白いと感じました。
調理法でいうと全国的に煮物が多かったようです。かつておせち料理は元旦から3日間かけて食べられていたので、煮直して食べられるものや、つくだ煮など甘くしょっぱい日持ちのいい煮物が多くなったのでしょう」
江上先生が全国のおせち料理を作ってみて、特に印象的だったのは、石川県の「タイの唐蒸し」。味も見た目もお正月の特別感を感じるハレの日の料理だそうです。

また、「シンプルな料理ですが富山県の『べっこう(えびす、べろべろとも呼ぶ)』や、宮崎県の『きんかん煮』は、ごちそうの合間の箸休めにもなって、とてもおいしかったです」とのこと。
「タイの唐蒸し」は材料も多く、調理にかなり手間がかかるので、今回は手軽に作れる富山県の「べっこう」と、宮崎県の「きんかん煮」、さらに岩手県の「サケの紅葉漬け」、長野県の「長いもようかん」の4品のレシピを紹介します!
<岩手県の郷土おせち>サケの紅葉漬け
サケの身とイクラが入っていて、見た目が鮮やかな紅色であることから、紅葉漬けと呼ばれる。三陸地方のおせち料理の名物。
【材料・5人分】
・刺身用サーモン・・・200g
・イクラ・・・50g
・切り昆布・・・5g
・水・・・大さじ3
■A
└ しょうゆ・・・大さじ3
└みりん・・・大さじ3
└塩・・・少々
【作り方】
1.切り昆布は水につけて15分くらいおく。
2.1とAを鍋に入れ、さっと煮立てて冷ましておく。
3.サーモンは一口大のそぎ切りにする。
4.容器に2、3、イクラを入れ、一晩冷蔵庫に入れる。

