YouTuberのヒカルさんと実業家でインフルエンサーの進撃のノアさんが12月19日、YouTubeチャンネルで離婚したことを発表した。2人は今年5月に「0日婚」として結婚を公表したばかりで、結婚生活はわずか約7カ月という短期間で終わりを迎えた。
動画の中でヒカルさんは「最初から最後まで僕がずっと掻き乱し続けて、ちゃぶ台をひっくり返し続けた結果」と、離婚の原因が自身にあることを認めている。9月にはヒカルさんがノアさん以外の女性とも関係を持つ「オープンマリッジ」を宣言するなど、2人の結婚をめぐっては度々炎上していた。
結婚からわずか数カ月での離婚となったが、2人の間には子どもはいないことから、離婚手続きは比較的簡単に進みそうだ。しかし、こうした短期間の婚姻でも財産分与は発生するのだろうか。離婚問題に詳しい冨本和男弁護士に聞いた。
●婚姻期間が短くても財産分与は発生する?
冨本弁護士は、まず財産分与の基本的な仕組みについて次のように説明する。
「財産分与とは、婚姻関係あるいは内縁関係にあった当事者の一方が、離婚などを機に他方に財産を分け与える制度です。当事者間の公平を図ることを目的としており、民法768条に基づいて請求することができます」
ただし、冨本弁護士は「実際にはあまりにも婚姻期間が短い場合や、夫婦で協力して築いた財産がほとんどない場合には、財産分与が認められないケースもある」と指摘する。
民法768条3項には「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」と規定されており、冨本弁護士によると、次のような事情が考慮されるという。
「当事者双方がその協力によって取得し、または維持した財産の額およびその取得または維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力および扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業および収入その他一切の事情を考慮し、分与させるべきかどうかならびに分与の額および方法を定めるものとされています」
つまり、お互いに若く自立しており、婚姻期間も短く、共有財産もほとんどないと判断されれば、財産分与の対象にならない可能性もあるということだ。
●短期間でも原則は「半分ずつ」だが…
では、仮に財産分与がおこなわれる場合、同居期間の短さは分与の内容にどう影響するのか。
冨本弁護士は「原則として、財産分与は『半分ずつ』です。ただし、対象となるのは、婚姻期間中に夫婦の協力で取得・維持された共有財産に限られます」と話す。
結婚前からそれぞれが持っていた特有財産は原則として財産分与の対象にならない。冨本弁護士は「婚姻期間が長くなると、特有財産と共有財産が混在し、線引きが難しくなることもあります」としたうえで、「今回のように婚姻・同居期間がごく短い場合は、特有財産と共有財産が区別しやすく、財産分与の対象も限定的になる」と説明する。
ヒカルさんと進撃のノアさんのケースでは、それぞれがインフルエンサーとして独立した収入源を持っており、婚姻期間も約7カ月と短い。こうした状況では、財産分与が発生しない、あるいは発生したとしてもその対象は極めて限定的になる可能性が高そうだ。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp

