顎骨嚢胞の前兆や初期症状について
顎骨嚢胞の多くは、初期段階だとほとんど症状がありません。しかし、嚢胞に細菌が入って感染すると、痛みが出たり、腫れたり、赤くなったりすることがあります。
とくに、歯原性嚢胞の場合は、噛んだときや軽く叩いたときに痛みを感じたり、歯ぐきが腫れたり、顔が腫れたりすることもあります。
嚢胞が大きくなると、周りの骨が溶けていくことで顎の形が変化する場合があります。嚢胞が神経を圧迫して、下唇やあごの部分の感覚に異常をきたすこともあります。
また、顎骨嚢胞の種類に応じて、特徴的な症状が出ることもあります。例えば、副鼻腔の手術後にできる嚢胞では、鼻づまりや鼻水といった症状が出ることがあります。含歯性嚢胞では、歯が予定より遅く生えてきたり、歯並びが悪くなったりすることがあります。
顎骨嚢胞の検査・診断
顎骨嚢胞では、画像検査や歯髄検査、病理検査にて診断が可能です。
画像検査
歯科で一般的に使われるパノラマレントゲン写真で、顎全体の様子を確認します。嚢胞は丸や楕円形の影が写し出され、歯の根に関連した嚢胞か、生えていない歯の周りにできた嚢胞かを判断できます。
さらに詳しく調べるために、歯科用CTで検査を行うこともあります。嚢胞の立体的な広がりを確認でき、手術計画を立てる場合に有効です。また、顎の中を通る神経との位置関係なども、正確に把握できます。
歯髄診査
歯原性嚢胞が疑われる場合は、その歯が生きているかどうかを調べるために電気刺激を与える検査を行います。原因となっている歯は、多くの場合、神経が死んでいるため電気刺激に反応しません。
病理検査
必要に応じて嚢胞の組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。良性や悪性の腫瘍との鑑別や嚢胞の種類を正確に診断できます。また、嚢胞の中にたまっている液体を調べることで、嚢胞の種類を判断する手がかりにもなります。

