嗅神経芽細胞腫の治療
嗅神経芽細胞腫の基本は、手術と放射線治療です。切除して取り除くことが可能な腫瘍の場合、まず手術によって腫瘍を取り除き、手術後に放射線治療を行います。
鼻の奥の上部に腫瘍が存在するため、嗅神経芽細胞腫の手術は開頭手術(頚頭蓋経顔面腫瘍切除術)によって行われることが一般的でしたが、近年は鼻内内視鏡手術の発達により、比較的小さな腫瘍に対しては内視鏡手術が選択されることも多くなっています。
嗅神経芽細胞腫は、周りの組織を壊して広がりやすい(浸潤性が高い)がんとして知られていますが、手術治療のあとに放射線治療を行うことで、浸潤や再発のリスクは低下すると考えられています。再発のリスクが高い場合には、手術の前後に薬物治療を行うことがあります。遠隔に転移している場合には薬物治療が中心となり、切除が難しい場合や手術を希望しない場合は放射線治療が検討されます。
現時点で確立された薬物治療はありませんが、シスプラチンという抗がん剤などを中心とした薬物治療(シプラチン+エトポシド・イリノテカンなど)、またはシクロフォスファミドやビンクリスチンを中心とする薬物療法が試みられるケースもあります。
嗅神経芽細胞腫では、手術後の5年生存率などのデータから、腫瘍が鼻腔内にとどまる限りは比較的予後が良好とされています。そのため、早期発見と早期治療が重要と言えるでしょう。
嗅神経芽細胞腫は治療の数年後、あるいは10年以上経過したあとに再発する場合もあり、治療後の定期的な経過観察も必要です。
嗅神経芽細胞腫になりやすい人・予防の方法
嗅神経芽細胞腫の原因は明らかになっておらず、若年から高齢者までの幅広い年代で発症することが知られています。発症リスクの高い人を特定することはできませんが、発症年齢は20歳代と60歳代にピークがあることが報告されています。また、実際の患者数は男性がやや多いものの、発症に男女差はないと考えられています。
現在のところ、明確な予防方法もありませんが、鼻づまりや繰り返す鼻血などの症状が長期間続く場合は、医療機関を受診しくわしい検査を受けることが重要です。
関連する病気
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副鼻腔癌
副鼻腔炎アレルギー性鼻炎鼻茸参考文献
国立研究開発法人 国立がん研究センター 希少がんセンター 嗅神経芽細胞腫(きゅうしんけいがさいぼうしゅ)
一般社団法人 日本頭頚部癌学会 嗅神経芽細胞腫
耳展 56:補 1;58~63,2013 嗅神経芽細胞腫に対する臨床的検討
特定非営利活動法人 日本頭頚部外科学科 鼻腔がん

