帯状疱疹は、体内の神経に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が再活性化して起こる疾患です。
初めてVZVに感染すると水痘(水ぼうそう)を発症します。水痘を発症するとVZVは皮膚から神経に移動し、後根神経節(こうこんしんけいせつ)という神経の束の内部に潜伏します。皮膚症状が回復しても神経節に潜伏するVZVは生涯留まり続け、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。

監修医師:
林 良典(医師)
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帯状疱疹の基礎知識

帯状疱疹の原因を教えてください
後根神経節に潜伏したVZVが加齢やストレス、過労などで免疫が低下したことをきっかけに、再活性化したことが原因です。体内にいるVZVを排除することはできません。一度でも水ぼうそうに感染したか、水痘ワクチンを接種した方は誰でも帯状疱疹を発症するリスクがあります。
VZVが再び活動を始めると、神経の根元(神経節)で増え始めます。さらに神経を通り、皮膚の表面まで移動します。そして皮膚の細胞に感染して増殖を始めます。ウイルスが通った神経に沿って、赤いブツブツした皮疹や水ぶくれ(水疱)が帯状に現れます。
帯状疱疹の症状にはどのようなものがありますか?
皮膚の痛み身体の片側の皮膚表面にピリピリした痛み、かゆみを感じます。針で刺されたような痛み、電気で痺れたような痛みなど、感じ方はさまざまです。
帯状疱疹診療ガイドライン2025では、皮疹が出2日前~2週間前に70~80%の患者さんが痛みやかゆみを感じたとあります。
帯状疱疹の痛みの原因はVZVに神経を傷つけられた痛みと、皮膚の炎症によるものです。VZVは神経を包んでいる膜(神経周膜)に感染して傷つけます。
皮疹
皮疹は赤いブツブツから始まります。数日で水疱に変化した後に化膿し、やがてカサブタ(痂皮)に変化します。皮膚の炎症は通常、数週間ほどで回復します。
微熱、頭痛など
20%未満の患者さんには微熱、頭痛、不快感など、風邪のような症状が見られます。
ハント症候群
顔に帯状疱疹が発症するケースがあります。眼や耳の神経にダメージを与え、顔や耳などに皮疹が表れます。治癒率は治療を行っても70%、未治療では30%で、後遺症が残るリスクがある疾患です。
顔面麻痺や難聴、めまいなどの後遺症を発症するリスクがあるため、もし顔にピリピリした鋭い痛みや赤い発疹ができたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。
目の疾患
眼にVZVが感染すると、結膜炎など目の疾患を併発します。アシクロビル眼軟膏の併用が望ましいです。
そのほか
重症化すると運動麻痺を起こし、腕が上がらなくなることがあります。外陰部に発症すると尿閉を起こすことがあります。これらの症状が出た場合は入院が必要です。
帯状疱疹の治療法

帯状疱疹を完治させる治療法はありますか?
帯状疱疹の症状を抑える治療法はあります。しかし原因ウイルスの消滅が完治と定義するなら、現代でも治療法はありません。
急性期の症状を治療するために抗ウイルス薬を投与します。内服薬か点滴でアシクロビルやバラシクロビル、ファムシクロビルなどの全身投与を行います。妊婦の方や授乳中の方にも大きな問題はなく、推奨される治療法です。
帯状疱疹の痛みや辛さを緩和する治療法を教えてください
痛みの緩和には飲み薬(内服薬)を用います。塗り薬(外用薬)は評価が乏しいため推奨されていません。内服薬は、軽い痛みならアセトアミノフェンを、緩和しない場合は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用します。効果が見られない場合はリン酸コデインや、抗うつ剤のアミトリプチリンを投与します。
激しい痛みの場合はブロック注射を行います。
帯状疱疹の治療で入院することはありますか?
あります。広範囲に症状が広がった場合や、耳、眼、陰部に症状が出た場合は合併症のリスクが高いため、入院が必要です。抗ウイルス薬の点滴投与と症状に合わせた加療を行います。
播種性帯状疱疹
広範囲にウイルスが広がり発症すると患部からウイルスが大量に出て、空気感染を引き起こします。隔離が必要で、すべての水疱がかさぶたになるまで隔離は続きます。
播種性帯状疱疹の患者さんは周囲に感染させるリスクがあります。二次感染者は3日以内にワクチン接種を行えば85%発症を防ぎ、3~4日以内に静注用γ-グロブリンを投与すれば発症予防と軽症化ができます。
帯状疱疹が治るまでの期間を教えてください
皮膚にピリピリした痛みや違和感が出てから、かさぶたがはがれ落ちるまでは4週間ほどかかります。水疱が破れ、膿が出て潰瘍になり、かさぶたに覆われるまでは2~3週間かかります。
しかし、皮膚のかさぶたが剥がれた後にもピリピリした痛みが残ることがあります。これが帯状疱疹後神経痛という後遺症です。

