帯状疱疹後神経痛の治療法

帯状疱疹後神経痛はどのような病気ですか?
帯状疱疹後神経痛は、皮疹が治った後にも3ヶ月以上続く疼痛のことです。焼けるような痛み、チクチク刺されるような痛みと表現される神経障害性疼痛で、日常生活や睡眠に支障を及ぼす場合もあります。強い痛みが続き、疼痛管理が難しいのが特徴です。
症状が数年以上続くことがある、厄介な後遺症です。服が患部に触れる、風が当たるなど軽い刺激に強い痛みを感じることがあります。
皮膚の炎症は1ヶ月ほどで改善しますが、神経のダメージはなかなか回復しません。何年も治療が必要になることがあります。
帯状疱疹後神経痛は高齢者が発症しやすく、早期治療とワクチン接種による予防が推奨されています。
帯状疱疹後神経痛の治療法を教えてください
帯状疱疹後神経痛は現在のところ効果的な治療法はなく、すべて対症療法になります。薬物療法が基本で、痛みのコントロールが難しい場合には神経ブロック注射で疼痛管理を行います。
神経障害疼痛薬物治療ガイドラインでは、以下の薬剤を推奨しています。
カルシウム(Ca2+)チャネルα2δリガンド(プレガバリン、ガバペンチン)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(デュロキセチン)
三環系抗うつ薬(アミトリプリチン、ノルトリプチリン、イミプラミン)
これらの薬で効果が見られない場合は、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液や、オピオイド鎮痛薬のトラマドールを使用します。
帯状疱疹発症後に帯状疱疹後神経痛を予防する方法はありますか?
あります。早期治療で帯状疱疹後神経痛のリスクを下げることができます。早期に抗ウイルス薬を投与できれば帯状疱疹後神経痛の発症率を下げることができます。
皮疹が出て72時間以内、遅くても5日以内の投与が必要です。
保険適用外ですが、抗うつ剤のアミトリプチリンの早期投与も帯状疱疹後神経痛の発生を低減させます。60歳以上の方には積極的に加療されます。
皮膚にピリピリと神経に触れるような痛みや、チクチク刺されるような違和感があれば、発疹がなくてもすぐに皮膚科を受診しましょう。発疹を伴わない場合は帯状疱疹の確定診断はできませんが、要経過観察になり、早期に帯状疱疹を発見、治療できる体制が整います。
効果が高い予防法は、帯状疱疹ワクチンの接種です。
65歳以上の方は定期接種の対象になりましたが、任意接種(自費で行う予防接種)は50歳からできます。組換えワクチンは18歳以上の帯状疱疹発症リスクが高い方も対象です。
帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと組換えワクチンの2種類があります。
予防効果が高いのは組換えワクチンですが、それぞれメリット、デメリットがあります。主治医と相談して、どちらを選ぶか判断しましょう。
生ワクチン
以前から使用されているワクチンです。実費で約10,000円と安価、1回で接種が完了するなど、手軽さがメリットです。インフルエンザワクチンと同じ、皮下注射で接種します。
デメリットは接種に制限があることです。生ワクチンのため免疫抑制者には接種ができません。帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防効果は、組換えワクチンに比べて劣ります。
組換えワクチン
2018年に承認された、新しいタイプのワクチンです。
帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛とも予防効果が極めて高く、接種後3年で帯状疱疹の発症を97.2%、8年後でも84%抑えます。新型コロナワクチンのように筋肉注射で接種します。
デメリットは2回接種が必要なこと、価格が高価なことです。医療機関により金額は異なりますが、実費で40,000円以上が相場です。
しかし帯状疱疹後神経痛を発症すると苦しいのは症状だけではありません。通院に多くの時間を費やし、多額の医療費が発生します。組換えワクチンはリスクを大きく低減できます。
編集部まとめ

帯状疱疹の原因になるVZVは神経のなかで休眠していますが、取り除くことは現代の医療ではできません。
ウイルスを再活性させない、させてもすぐ沈静化させるためにもワクチン接種と、皮膚科への早急な受診を行いましょう。治療は早いほど予後が良く、発疹が出て72時間以内が理想です。早期治療とワクチン接種で、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを大きく下げることができます。
参考文献
帯状疱疹診療ガイドライン2025
神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版
日本皮膚科学会皮膚科Q&A「ヘルペスと帯状疱疹」
厚生労働省帯状疱疹ワクチン
第61回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会帯状疱疹ワクチン
第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会.予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会.帯状疱疹ワクチンについて
北大病院感染対策マニュアル第7版10-2.水痘(播種性帯状疱疹)
北里大学北里研究所病院帯状疱疹ワクチン予防接種について
国立健康危機管理研究機構水痘帯状疱疹ウイルス疾患の病理
大阪大学医学部附属病院ワクチン外来

