ブルーナカラーが生まれた背景
『うさこちゃん びじゅつかんへいく』、ディック・ブルーナぶん/え、まつおかきょうこやく、福音館書店
ディック・ブルーナは、出版社を経営していた父の影響で画家を目指しました。レンブラント、ファンゴッホ、レジェなどのアーティストにインスピレーションを受けたとされますが、特にアンリ・マティスからの影響が色濃くみられます。
アンリ・マティス、ヴェルヴ:植物(翠波画廊)
インタビューの中でもマティスの展示会に足繁く通い、どうやって色を組み合わせているのだろうか、どうやって線を描いているのだろうかと研究していたとコメントしています。
マティスはその奔放な色づかいから「色彩の魔術師」と呼ばれました。晩年には色紙を切り貼りした切り絵作品に取り組んでおり、色彩だけでなく形も極限までシンプルにした作品を残しました。
ブルーナも彼の作品から、シンプルな形と色だけで感情を伝えることを学びました。ミッフィーが美術館に出かけて『うさこちゃん びじゅつかんへいく』の表紙にはマティスの「植物」をオマージュした作品が描かれています。両者を比べてみると、ブルーナのマティスに対する尊敬の念が伝わってきます。
今も受け継がれるブルーナカラー
ディック・ブルーナがこの世を去った後も、彼が遺したブルーナカラーは、次世代に引き継がれています。その影響は絵本の世界にとどまらず、世界中のデザイナーやクリエイターにまで影響をあたえています。
現代のWebデザインでは、装飾を最小限に抑えて無駄をそぎ落としたデザインこそがより効果的であるという、ミニマルデザインが主流ですが、ブルーナカラーのシンプルで普遍的な魅力を持つ配色と通ずるものがあります。彼の作品は、読者を信頼して情報を削ぎ落とすことでかえって豊かさが生まれることを教えてくれます。
日本でも、ミッフィーの展覧会が開催されるたびに多くの人が訪れ、その世界に魅了されます。また、様々な企業とのコラボレーション商品においても、ブルーナカラーのデザイン哲学は大切に継承されており、私たちの暮らしの中に溶け込んでいます。
