
来年6月に北中米W杯を控える日本代表主力に、ケガ人が相次ぎ、ついにチームの精神的支柱とも言える選手の出場が極めて困難な状況となった。
12月21日、フランスリーグアンのモナコに所属するMF南野拓実はフランス杯・オセール戦に先発出場するも、前半36分にオセールの選手をチェイシングする最中に左膝を負傷。苦悶の表情を浮かべながら、両手で顔を覆っていたことから、チームメイトも駆けつける騒ぎとなり、事態の深刻さを窺わせた。
試合後、モナコのセバスチャン・ポコニョーリ監督は南野の状態について「最初の検査結果はあまりポジティブなものではない」と明かし、フランス紙「L'EQUIPE」も「左膝が重傷になる可能性があり、最悪の事態が心配される」と報じた。その後、クラブ公式サイトは検査の結果、南野が前十字靱帯(じんたい)断裂と判明したと公表。南野について「回復に向けてクラブ全体の全面的なサポートを受けられることを確信しています」とコメントした。
なお、日本代表の主力メンバーでは、キャプテンのリヴァプールMF遠藤航が右肩の関節脱臼で全治8週間、クリスタル・パレスMF鎌田大地はハムストリングの負傷で2〜3カ月の戦線離脱が予想されている。
「遠藤と鎌田は中期離脱で収まり、なんとか来年6月の本大会には間に合うでしょうが、コンディション不良や試合勘を完全に取り戻すまでには時間がかかるため、負傷離脱の影響は決して少なくありません。2人は森保一監督からも全幅の信頼を寄せられる主力中の主力であり、ただでさえ今回のケガは冷や汗級となったわけですが、南野の場合は、大変厳しい状況だと言わざるを得ません。現地メディア『L'EQUIPE』は当初から、前十字靭帯断裂の可能性も報道し、それが現実となったわけで、通常、全治までの期間は8〜10カ月が平均。30歳の南野にとってキャリア絶頂期に迎えるW杯出場を棒に振ることになれば極めて残念なことでしょう。10月に開催された国際親善試合のブラジル戦では、0-2とビハインドの中、逆転の狼煙をあげる1点目をもたらしたのがゲームキャプテンの南野で、強豪を相手にしてもプレーがブレない精神的支柱でもありました。彼が不在のままW杯を戦うとなれば、チームにとってはかなりの大ダメージになることは間違いないですね」(スポーツライター)
2020年に加入したリヴァプールで不遇の時を過ごし、2022年より所属するモナコで覚醒した南野。その豊富な経験が森保ジャパンにもたらした貢献は大きいのだが、「南野不在」の大ピンチを不屈の結束力で森保ジャパンが乗り越えることを祈るばかりだ。
(木村慎吾)
