給食を完食しないと教室を出られない!休み時間はみんなとドッジボール?やりたくないのに押し付ける学校が嫌いだった【話を聞く】

給食を完食しないと教室を出られない!休み時間はみんなとドッジボール?やりたくないのに押し付ける学校が嫌いだった【話を聞く】

教師が絶対的な権力を持ち、親に言えば「なんで先生の言うことを聞かないの!」とひっぱたかれることもあった昭和の小学生時代を描く、やませちか(@yamasetubuyaki)さんの『小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話』を紹介するとともに話を聞いた。


■昭和の時代に「多様性」など、ほぼ存在しなかった
「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」1
「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」1 / 画像提供:やませちか(@yamasetubuyaki)

家庭の都合で幼稚園に通っていなかったという、やませさん。ある日、父親に学校に連れて行かれ、「これから、6年間小学校に通う」と言われた。今まで一人で過ごしてきたやませさんは、初めてのコミュニティ、共同生活にとても驚いた。

「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」2
「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」2 / 画像提供:やませちか(@yamasetubuyaki)

特に教師は「みんな一緒」であることを強く求めた。運動が苦手で逆上がりができないと「なんでできないの?一組でできない子はあなただけよ!」と言われたり、給食を食べるまで教室を出られないなど理不尽な指導が当たり前だった。結局、5時間目が始まるまで食べ終えることができず、給食室に片づけに行く毎日。学校なんて楽しくなかった。

「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」3
「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」3 / 画像提供:やませちか(@yamasetubuyaki)

休み時間は好きでもないドッジボールに参加させられ、ボールを当てられる。逃げるように図書室に行き本を読んでいると、教師は「なんでみんなと遊ばないの?みんなと同じことができないの?そんなんだから友達できないんだよ?」と、やませさんを深く傷つけた。

「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」6
「小学校がつら過ぎた昭和生まれのある漫画家の話」6 / 画像提供:やませちか(@yamasetubuyaki)

絵や漫画を描くことは、やませさんにとって唯一の救いだった。学校で満たされない気持ちを妄想に置き換え、絵を描いたという。本作にはXで4700以上のいいねを集め、「休み時間に本を読んでいたら、怒られたことがある」「平成生まれでもこんなものだった」「今も給食を無理に食べさせる学校はある」などのコメントが集まり話題となった。

■当時は「学校に行かない」という発想自体が許されない空気があった

――現在『宝石商のメイド』を連載中ですが、今回、幼少期からの記録を描いた理由を教えてください。

もともと、『宝石商のメイド』の連載を終えたら、余暇で自分が漫画家になるまでのエッセイ漫画を描く予定でした。ですが、今の連載を続けながら描いたほうが、新しい風を吹き込めるのではないかと思い、描き始めました。

――初めて小学校に行ったときから6年間で気持ちの変化はありましたか?

小5くらいから、嫌な先生やいじめてくるような同級生も一人の人間であって、否定的なことを言われてもそれが絶対的な価値観ではないと気づきました。高学年になって自由度が増すにつれて、学校への苦手意識も薄まっていきました。

――小学時代の理不尽な出来事に多くの共感を集めています。当時はどのような気持ちで学校に通っていましたか?

どんなに嫌でも行くしか選択肢がない場所だと思い、通いました。ストレスから体調不良や食欲不振もありましたが、当時は「学校に行かない」なんていう発想自体が許されない空気があったので、ひたすら耐えていました。

――やませさんが描く自伝シリーズで、特にこだわっている場面はどこですか?

読者の方に自分の描きたいことが伝わるように、驚いたり悲しんだり感情が大きく動く場面はとくにこだわって描いています。

――本作を通して伝えたいことは?

ハンデがあっても落ちこぼれに思えても、「一つだけ信じ続けられる何かがあれば人は生きていける」ということを伝えたいと思い描いています。

――大人になってから過去を振り返ってみて、今どう感じていますか?

結果的には無理をしてでもあのとき学校に通ってよかったと思っています。何度落選しても漫画家の道をあきらめなかった原動力は過去のお陰かなと。何かを耐える経験をしていなければ心がすぐに折れていたと思います。

――そのほかにどのような作品を描いていますか?

私は『宝石商のメイド』がデビュー作で、それ以前の作品歴がなかったりします。『宝石商のメイド』は主人公のメイド、エリヤが人生の悩みや葛藤を抱えたお客様の心を解きほぐしていく過程が見どころの作品です。今描いているエッセイ漫画と通じるものがありますので、こちらもぜひお読みいただければうれしいです。

取材協力:やませちか(@yamasetubuyaki)

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配信元: Walkerplus

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