医師が抗がん剤の投与を中止する判断基準とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「抗がん剤を使わない場合の余命」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
鎌田 百合(医師)
千葉大学医学部卒業。血液内科を専門とし、貧血から血液悪性腫瘍まで幅広く診療。大学病院をはじめとした県内数多くの病院で多数の研修を積んだ経験を活かし、現在は医療法人鎗田病院に勤務。プライマリケアに注力し、内科・血液内科医として地域に根ざした医療を行っている。血液内科専門医、内科認定医。
「抗がん剤」とは?
抗がん剤は、がん細胞の増殖・進行を防いで死滅に導くための薬剤です。抗がん剤を使用した治療は化学療法とも呼ばれ、外科手術・放射線治療と並ぶがんの主な治療法のひとつです。また、がん治療はこれらの治療を組み合わせることが多いです。
抗がん剤のみで完治を目指す場合もありますが、手術前に病巣を小さくする目的で抗がん剤を使用したり、術後の転移・再発を防ぐ目的で抗がん剤を使用したりするなど、補助的な役割で用いられることも多くあります。
医師はどのような基準で抗がん剤の投与を中止する?
治療が中止となるパターンは3つあります。1つ目は、今使っている抗がん剤治療の効果が不十分となった場合、2つ目は、治療の副作用が重度であり継続が困難と担当医が判断した場合、3つ目は、患者さんの希望による中止です。
治療の効果が不十分なとき
がんの大きさが小さくなる(奏功)か、がんの大きさが変わらない(安定)とき、使っている抗がん剤は効果があると判断されます。がんの大きさがどんどん大きくなった(進行)ことがCT画像などで分かった場合に、その抗がん剤は治療効果がないと判断されます。効果が得られなくなったときは、使用する抗がん剤を変更してがんの治療を続けることになります。
治療の副作用が重度のとき
副作用による抗がん剤の投与中止は、担当医の総合的な判断で行われます。抗がん剤の添付文書には有害事象共通用語規準 (Common Terminology Criteria for Adverse Events; CTCAE)を用いた休薬、減量及び中止基準が記載されています。多くの治療医はこれらや治療ガイドラインに準拠して薬剤の減量や中止を判断します。また、前提として、身の回りのことが自分でできず、日中の50%以上就床している PS(パフォーマンスステイタス)3 の状態は、有害事象が強く出る危険が高いため、固形がんでは抗がん剤治療の適応になりません。治療の副作用でPSが下がったとき、肝機能や腎機能の低下など臓器障害が強くでてしまったとき、血球減少が回復しないときは、治療の休止や中止が勧められることが多いと言えるでしょう。
患者さんの希望による中止
臓器機能がよく、PSがよい状態であっても患者さんが抗がん剤治療を希望しないケースがあります。たかだか半年の延命に意味はないと言い切る方、たくさん旅行に行きたいから治療をしたくないと迷う方、つらい副作用に耐えることに残り時間を費やしたくないと話される方など、いろいろな理由があります。治療医は最終的に納得のいく治療の選択をしてもらいたいと願っていますので、抗がん剤治療がどのように自分の人生にメリットデメリットをもたらすのかを考えて担当医と相談をしましょう。副作用が少ない治療のみ行う、など、希望に合わせて治療内容を選べることもあります。

