
原価高騰のあおりを受けて1000円ランチを1500円に価格改定すると、一気に客足が遠のいた。集客するには価格を安くするべきか?人件費や人手不足にも悩む、飲食店のリアルな裏側を描く、クマ(@cumacuma_cuma)さんの漫画『神様か悪魔か』を紹介するとともに話を聞いた。
■原価高騰のあおりを受け、ランチを値上げしたらお客が減った!?

今回はお客が求める「低価格・高サービス問題を経営側はどう捉えるべきか?」をテーマしたという、作者のクマさん。「価格とお客さんの声に悩むレストランを描いています。物価があがれば、店は料理の値段をあげなくてはやっていけない。でも、お客さん側からすると『安くておいしいものを食べたい』、この塩梅に頭を抱える人や企業は多いです。そういう経営者の苦悩とそれでも頑張りたい経営のやりがいや楽しさを見てもらえたらと思います」と見どころを話す。

脱サラして夢の飲食店をオープンさせた、オーナーの古賀えい子。駅近で立地もよく、味も高評価、店は繁盛していた。しかし、価格高騰のあおりを受け、仕入先が値上げ。1000円ランチもそろそろ限界となった。利益を重視し、ランチを1500円に価格改定。値上げをすると一気に客足が遠のいた。「値段が高いとお客が来ない」という状況を目の当たりにしたえい子は、焦って価格を戻す。するとこの辺では一番安い店となり、お客さんは殺到!「うれしい悲鳴」かと思いきや、店が繁盛しても原価が上がったため、利益は減っていて経営は厳しいまま。

価格を上げれば客は減り、利益度外視で経営すると、客は増えるが店は回らない…。経営不信に悩む、えい子。そんな折、1人の学生が進学のためにバイトを辞めるという。昨今、バイトも安い時給では募集をかけてもなかなか集まらず、人手不足が進む一方。「おいしいランチを食べてほしい」という思いで店を始めたものの、気持ちだけでは経営できない。
さまざまな問題を解決できないまま、ランチ時の行列は増えていく。そんなときバイトが欠勤。人手不足のままお店を回すしかない状況に。余裕のないままランチタイムに突入し、あるトラブルがきっかけでSNSに拡散され、レストランは閉店に追い込まれる。お客さんは神様でもあり、ときに悪魔にもなりうる存在なのだ。

リアルな飲食業界を描いた理由は、「勉強のためさまざまな事業やそれにまつわる事件を調べていました。過去に起きた牛肉偽装事件で犯人が『安いものばかり求める消費者側にも問題がある』と発言したのを知りまして。私は今はクリエイターとして活動をしていますが元飲食業で、どちらも客商売ですので『確かにその問題はあるなあ』と思ったのがきっかけです」とクマさん。

今回紹介するのは、悩みを抱えた経営者の「問題編」。続編の「解決編」ついては、「現在、Xで毎日、隔日のペースで更新中です。料理の値段をあげると決めたレストランが価格に見合う価値をどう提供していくか?を描いていきます」とクマさん。「飲食店のみならず、いろいろな業界で働いている方にも共感するところが多い」「ブラックな環境をどう改善していくのか、続きが気になる」など、読者からも注目を集めている作品だ。
取材協力:クマ(@cumacuma_cuma)
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