”悪性化”しやすい「胃ポリープの見た目」は?進行時の症状も医師が解説!

”悪性化”しやすい「胃ポリープの見た目」は?進行時の症状も医師が解説!

胃ポリープは基本的には良性の病変です。3つの種類に分類され、ほとんど治療の必要がない胃底腺ポリープ、悪性化リスクがある過形成ポリープや危険な腺腫ポリープがあります。

初期の胃ポリープには症状はありません。ただ、萎縮性胃炎を伴うポリープは、胃炎による症状が特徴的です。大きくなればポリープからの出血による症状もあります。
この記事では3種類の胃ポリープの悪性度・見た目の違い・症状を解説します。胃の調子が気になる方は参考にしてください。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

胃ポリープとは?

胃ポリープは胃粘膜上にできる、腫瘍とは違う良性の盛り上がった病変を指します。胃ポリープは以下のとおり3種類に分類されます。

胃底腺ポリープ

過形成ポリープ

腺腫性ポリープ

胃ポリープのうち、ほとんどの症例が胃底腺ポリープか過形成ポリープです。ほかには、悪性化リスクの高い腺腫性ポリープがあります。
多くは無症状ですが、出血が続くと貧血に関連する症状が見られることがあります。
また、巨大化して胃の入口や出口が狭くなると、現れるのが吐き気・食欲不振などの症状です。
治療が不要なポリープもあるなかで、良性でも悪性化する可能性が高いもの、食物の通過障害をおこすものは切除が必要です。
ポリープの見た目や粘膜の状態から、胃がんリスクを高めるヘリコバクターやピロリ菌の関与が疑われる場合は、感染確認と除菌治療が行われます。

胃ポリープの悪性化する確率や見た目

胃ポリープの多くはあまり深刻なものではなく、治療が不要なものもあります。しかし、悪性化の可能性があるポリープでは対応が必要なので、種類の見極めが大切です。
種類ごとに悪性化する確率・見た目などを見ていきます。

胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープは胃の上部にできやすい性質があり、直径は5mm以下です。女性に多く複数個できるのが特徴で、周囲の健康な粘膜と色調は変わりません。ツルツルした球状の見た目で、内視鏡で簡単に判別できます。
この種類は悪性化(=がん化)しないとされていて、特に治療の必要はありません。
このポリープができるのは、ヘリコバクターやピロリ菌がいない=萎縮性胃炎がない健全な粘膜上です。
ただし、極めてまれに胃底腺ポリープががん化した例はあります。したがって経過観察が必要です。

過形成ポリープ

過形成ポリープは、萎縮性胃炎をおこした胃粘膜に発生しやすい腫瘤です。炎症の傷を修復する際に、組織が過剰に作られてポリープになるといわれます。
見た目は炎症のために濃い赤色で表面には凹凸が見られ、ときに出血して貧血症状が見られることもあります。
萎縮性胃炎は胃がんリスクを高めるピロリ菌との関係が深く、そこから発生した過形成ポリープが認められた場合は、ピロリ菌の有無を確認する検査を行うべきです。除菌治療を行うと、約80%の患者さんでポリープの縮小・消失が見られることが明らかです。
なお、直径10mm超の過形成ポリープからは、約2%の頻度で胃がんが発生するとされます。直径が20mm以上・除菌しても大きくなる・出血が継続するなどの場合は、内視鏡による切除が考慮されます。

腺腫性ポリープ

腺腫は主に胃の中部から下部にかけてよく発生するポリープです。高度に進行した萎縮性胃炎の粘膜に発生しますが、見た目は過形成ポリープとは違い灰白色で扁平な形をしています。
多くのポリープが良性と悪性の境目の前がん状態とされ、組織を顕微鏡で検査して良性と判断されたものが腺腫です。
ただし判定は難しく、サイズが大きいものや陥凹しているものはがん化している疑いが強いため、切除が推奨されます。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。