成長期の骨の発育にも骨粗鬆症予防にも一役買ってくれる栄養素としてカルシウムを積極的に摂取する方は多いのではないでしょうか?
しかし、体内にカルシウムが多ければ多いほどいいというわけではないのです。カルシウムが血液中で増えすぎてしまうと体に不調を起こしたり、病気の原因になることもあります。
そこで今回は高カルシウム血症の特徴や原因について解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「高カルシウム血症」とは?症状・治療法・原因も解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
高カルシウム血症の原因と症状

高カルシウム血症はどのような状態でしょうか?
高カルシウム血症とは血液中のカルシウム濃度が高くなってしまう状態です。
血液中のカルシウム濃度が高くなってしまうと骨粗鬆症や腎臓病の原因にもなることがあるため注意が必要です。また、高カルシウム血症の特徴として「初期症状による早期発見の難しさ」があります。
詳しい症状については後述しますが、その分かりづらさによって重症化してしまうケースも珍しくはない恐ろしい状態です。
主な症状を教えてください。
高カルシウム血症の症状は便秘や吐き気、食欲不振などの判断しづらい初期症状であるため、気づかれにくい所が難点です。
ときに激しい口渇感や脱水症状を引き起こすこともありますが、重要視せずに放置してしまう方は少なくありません。重症化すると錯乱やせん妄、幻覚といった脳の異常を引き起こすこともあります。
カルシウムを含んだ腎結石ができることで腎機能への障害もみられるため軽視できない状態なのです。
自覚症状はありますか?
前述したように高カルシウム血症の症状は分かりづらく、特に分かりやすい自覚症状として挙げられるのが便秘や吐き気といった消化器症状です。
しかしこれらの症状は軽視する方も少なくないため、病院を受診せずに放置してしまったために重症化してしまうことも珍しくありません。
「少し体調が悪いだけ」が実は高カルシウム血症のような放っておくと恐ろしい事態にもなりうる状態である場合も珍しくないため、体に異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
高カルシウム血症の原因は何でしょうか
高カルシウム血症の原因としては以下のように複数挙げられます。
病気
カルシウム及びビタミンDの過剰摂取
高カルシウム血症の原因となる病気が以下の2つです。
副甲状腺機能亢進症
がん
では副甲状腺機能亢進症から解説していきます。まず副甲状腺機能亢進症がどのような病気であるかというと、副甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまう病気です。
副甲状腺は通常、体内のカルシウム調整を行っています。副甲状腺ホルモンを分泌させることでカルシウムの再吸収や骨形成を行います。
骨形成を行う過程でカルシウムを血液中に遊離させるのですが、副甲状腺ホルモンが過剰分泌することによって血液中に遊離されるカルシウムの量も増えてしまう結果、高カルシウム血症を引き起こしてしまいます。
また、骨にがんが転移して骨が破壊されることで血液中にカルシウムが流れてしまうため、がんは高カルシウム血症を起こしやすいといわれているのです。血液中にカルシウムが流れてしまうことで血中カルシウム濃度が上昇し、高カルシウム血症となるのです。
次にカルシウムとビタミンDの過剰摂取ですが、これらの原因としてはサプリメントの過剰摂取や整形外科などから処方されたカルシウム製剤などが挙げられます。
カルシウムを摂取しすぎてしまうと血中に流れてしまい、カルシウムの吸収を促進させる作用を持つビタミンDも摂取しすぎてしまえばカルシウムの吸収を過剰に促進させてしまうために同じ結果になってしまいます。
体にいいからといって過剰摂取は避けましょう。
編集部まとめ

カルシウムは健康な骨づくりに欠かせない栄養素です。
しかし、どんなにいい薬も飲み過ぎてしまえば毒になってしまうように、過度なカルシウム摂取は高カルシウム血症の原因になる危険性があります。
耐容上限量を守り、健康な体づくりに活かすカルシウム摂取をおすすめします。
また、早期発見を目指すためにも定期的に健康診断などを受け、徹底した自己管理をすることで高カルシウム血症から自身の体を守りましょう。
参考文献
高カルシウム血症|MSDマニュアル
軽症の原発性副甲状腺機能亢進症に対して外科治療は推奨されるか:患者と共有すべき臨床研究の成果|日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
ビタミンD|厚生労働省 eJIM

