舞台、名作映画、韓国ドラマや中国ドラマなど、多様なラインナップを誇るCS放送「衛星劇場」。11月からスタートした4カ月連続企画「OSK日本歌劇団 トップスター 翼和希SP」では、2024年に歴史あるOSK日本歌劇団のトップスターに就任した翼和希を特集している。12月から1月にかけてテレビ初放送される“新生OSK日本歌劇団”による舞台について、おさらいしていく。
■「踊りのOSK」伝統と生命力を継ぐ翼
宝塚、SKDと並び「三大歌劇」の一つに数えられたOSK日本歌劇団。1922年に「松竹楽劇部」として大阪に誕生した劇団は、終戦後の混乱や2002年の一時解散という大きな危機にいくつも直面してきた。
だが解散後も有志たちが自主的に設立した「OSK存続の会」が継承団体と認められるまで努力を続け、ついに存続を勝ち取るに至った。こうした“異色の生命力”ともいえるエネルギーこそが、OSK日本歌劇団が持つ最大の魅力だ。
関西の雄であった宝塚歌劇団が「歌の宝塚」と称されたのに対し、OSKは創立当初から洋舞・日舞を融合させたレビューに力を入れたことで「踊りのOSK」として名を馳せた。「桜咲く国」に象徴される華やかなレビューに、時代ごとの先進的なダンスを取り入れてきたことでも知られる。
そのDNAを強く受け継ぐのが、男役スターの翼和希。彼女の舞台は卓越した歌唱力に加え、シャープでキレのあるダンスが最大の特徴だ。伝統的な男役のダンディズムを踏まえつつも、現代的な身体表現と熱量の高い眼差しで観客を惹きつけていった。
OSK日本歌劇団が培ってきた「生命力」と「躍動」を体現し、劇団の「今」を象徴する顔となった翼。彼女がその実力を遺憾なく発揮し、一座を背負って臨んだのが記念碑的な公演「Revue in Kyoto レゼル～Les Ailes～」だ。
■「Revue in Kyoto レゼル～Les Ailes～」
朝ドラ「ブギウギ」で注目を集め、劇団を一躍全国区に押し上げた翼。そんな彼女のトップスター就任記念におこなわれた公演が「Revue in Kyoto レゼル～Les Ailes～」だった。2025年1月にシンガポールで大喝采を浴びたダイナミック・レビューを、装い新たに京都で凱旋公演を果たした形だ。
タイトル「レゼル Les Ailes」はフランス語で「翼」の意。主演・翼の翼、天使の翼、永遠のいのちをつなぐフェニックスなど“翼”をモチーフにした、ドラマティックなレビューショーとなっている。
天使の羽が舞う幻想的な幕開けから、パッションあふれるラテン、南座公演のために新たに挿入されるヤマトタケル白鳥伝説から、ハイスピードなラインダンスまで一気に駆け抜け、ラストはスタイリッシュかつ情熱的な総踊りへ、未来に向かって天翔ける姿をダイナミックに描く。
衛星劇場では2025年4月に京都・南座でおこなわれた同公演を12月31日(水)昼2時30分からテレビ初放送。千咲えみ、華月奏、椿りょう、唯城ありすなどが勢ぞろいしたOSK日本歌劇団の正統派レビューを楽しむことができる。
■「レビュー 夏のおどり」
2025年8月に東京・新橋演舞場でおこなわれた「レビュー 夏のおどり」が、1月1日(木)夜8時30分からテレビ初放送。2024年にトップスターに就任した翼和希が新橋演舞場でおこなったお披露目公演「レビュー 夏のおどり」は、和物と洋物の華やかなレビュー作品の豪華2本立てとなっている。翼率いるOSKの新生を告げる、迫力満点の舞台だ。
＜第一部＞「翔～Fly High～」 構成・演出・振付：花柳寿楽
「異なることを恐れずに大きく羽ばたく」…“翼”の名に込めた思いとともに、OSK日本歌劇団のトップスターお披露目にふさわしい逞しい姿を“花鳥風月”の世界で彩る。粋でいなせな幕開け、洋のリズムを加えた日本舞踊、幻想的で優雅な舞の数々。花柳寿楽が手がける斬新な和物レビューショー。
＜第二部＞「The Legendary！」 作・演出：中村一徳(宝塚歌劇団)
“翼”広がる新時代の誕生を祝う情熱的な幕開けから、心の絆・“和”が繋がるコーラス場面、OSKならではの群舞に、伝統的でエレガントなレビューシーンと続き、ラストはこれからの“希”望あふれる未来へ続くフィナーレ。中村一徳がOSK日本歌劇団の魅力をさらに羽ばたかせ、新しい時代・伝説が、今始まる。
