風邪などの症状を引き起こす「RSウイルス」は、年齢を問わず感染しますが、特に乳幼児がかかると重症化することもあるので注意が必要です。感染した場合の治療法や予防、対策の方法や妊婦の場合などについて、「グローバルヘルスケアクリニック」の水野先生に解説していただきました。

監修医師:
水野 泰孝(グローバルヘルスケアクリニック)
東京慈恵会医科大学大学院(小児科学)修了。タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学、在ベトナム日本大使館医務官、国立国際医療研究センター厚生労働技官、東京医科大学准教授・同大学病院大学病院感染症科診療科長などを歴任し、2019年より現職。日本感染症学会認定専門医・日本小児科学会認定専門医・日本アレルギー学会認定専門医。専門は熱帯医学・渡航医学・予防接種。
編集部
RSウイルスは、どのようにして治療するのですか?
水野先生
現在、RSウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。咳や鼻水を軽減したり、吸入をして呼吸を楽にしたりするなどの対症療法が中心となります。そのため、RSウイルスに対しては、治療よりも予防が大切です。
編集部
どのようにして予防すればいいのでしょうか?
水野先生
ワクチン接種が有効です。近年、60歳以上の人や妊婦に対してワクチン接種がおこなわれるようになりました。60歳に満たなくても、50歳以上でRSウイルスが重症化するリスクが高い人(COPD、喘息、慢性心不全などの基礎疾患があるなど)はワクチンを接種することができるので、詳しくは医師に相談してみてください。
編集部
妊婦もワクチンを接種できるのですね。
水野先生
はい。妊婦の場合には、胎児への感染を予防するためにワクチン接種が有効です。
編集部
そのほかには、どのような対策がありますか?
水野先生
RSウイルスに感染したときに重症化するのを防ぐため、抗体医薬品を使うことがあります。代表的なのは「パリビズマブ」という薬剤で、重症化リスクの高い早産児や、特定の疾患がある新生児と乳幼児を対象に用いられます。さらに、2024年には新しく「ニルセビマブ」という薬剤が登場しました。パリビズマブは、リスクが高い子どもだけが対象ですが、健康な新生児や乳児に対する予防効果もあります。
編集部
ワクチンや抗体医薬品を使用することのほか、どのようなことに気をつければいいでしょうか?
水野先生
RSウイルス感染症の予防に限らず、手洗いや消毒などの衛生管理が重要になります。アルコールや塩素系の消毒剤などを使い、子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すりなどを消毒する、流水や石鹸による手洗いを習慣化するといったことが大切です。また、咳や鼻水などの症状がある子どもには、マスクをつけられる年齢であれば着用することも重要です。
編集部
受診は必要ですか?
水野先生
乳幼児の機嫌が良く、特につらそうな症状がみられなければ慌てることなく、かかりつけ医に相談してください。ただし、「強い咳が出ている」「呼吸が苦しそう」「息を吸い込むとき胸の一部が陥没する」「水分を摂取できない」といった症状がみられる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
水野先生
一般の人だけでなく、医療関係者においても「RSウイルスは子どもの感染症」という認識がみられます。しかし、乳幼児だけでなく、高齢者でもRSウイルスに感染すると肺炎に至ったり、集団感染を起こしたりするリスクがあります。まずは「RSウイルスは子どもだけではなく、大人も感染するリスクがある」と認識し、正しい知識を持ってほしいと思います。現在ではワクチンや抗体医薬品など新たな薬剤も登場しているので、必要に応じて使用しましょう。
※この記事はメディカルドックにて<「RSウイルス」に感染したらどうなるかご存じですか? 症状が悪化しやすい人の特徴も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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