子どもの成長の遅れが気になる方へ 「思春期遅発症」の基礎知識を医師が解説

子どもの成長の遅れが気になる方へ 「思春期遅発症」の基礎知識を医師が解説

思春期遅発症の治療

思春期遅発症の治療は、ホルモン補充療法や生活指導、原因疾患の治療などをおこないます。場合によっては特別な治療はせず経過観察するケースもあります。

ホルモン補充療法は、不足しているホルモンを補うことで二次性徴の発達を促す治療です。 性別や年齢、症状に応じたホルモン製剤を投与します。

また栄養失調や肥満が原因の場合は、栄養管理や生活指導をします。

思春期遅発症の原因が他の疾患である場合は、原因疾患の治療をおこないます。

たとえば、甲状腺機能低下症が原因の場合は甲状腺ホルモン剤の投与をし、脳腫瘍が原因の場合は腫瘍を摘出するなど、原因疾患に応じて治療します。

体質性思春期遅発症の場合は経過観察しながら、自然に二次性徴の発来を待つこともあります。

思春期遅発症のどの病型であっても、本人は同年代との違いに悩むことが少なくありません。その気持ちに寄り添って心理的にサポートすることも求められます。

思春期遅発症になりやすい人・予防の方法

思春期遅発症になりやすい人は、二次性徴の発来が遅かった家族がいる人や過度な食事制限により栄養失調を来している人、肥満の人や染色体異常による疾患がある人などです。

思春期遅発症は他の疾患が関与している場合があるため、予防できる範囲には限度があります。

しかし本人や周囲の人がサポートすることで予防できることもあります。

具体的には、成長に必要な栄養素が含まれている食事を摂ることや適度な運動、定期的な健康診断を受けることなどです。

思春期における推定エネルギー必要量は、年齢や性別によっても異なりますが、最も少ない場合でも1,500kcalとされています。(出典:厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版))

この時期は身体をつくるための重要な時期であるため、無理な食事制限は望ましくありません。反対に肥満状態の場合は、摂取エネルギー量を控えるよう指導されることもあるでしょう。

また、家族歴があり思春期における成長の遅れが気になる場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。早期発見は早期治療開始につながるため、定期的な健康診断も欠かさず受けるようにしましょう。


関連する病気

脳腫瘍

Kallmann症候群

ターナー症候群

下垂体腫瘍

甲状腺機能低下症

参考文献

厚生労働科学研究成果データベース「思春期開始のサイン」

厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)

公益社団法人日本産婦人科医会「思春期とは」

杏林社症例から学ぶ生殖医学「5)思春期早発思春期、遅発思春期」

千石一雄他「これだけはマスターしたい症状別ホルモン療法」国立大学法人旭川医科大学AMCoR

あいち小児保健医療総合センター内分泌代謝科「思春期早発症・遅発症思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」

配信元: Medical DOC

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