
■「のしに名前はいらないわ」と和服のご婦人。すると...
これは1年前の話。
44歳だった私は東京のど真ん中のデパートで、短期の販売員をしました。
年末に差しかかる一番忙しい時期は、寒いし、忙しいし、お客様も急いでいる方が多くなります。
短期のアルバイトは私みたいにしょっちゅう働いている人もいれば大学生も多く、そのときのスタッフは私以外が大学生男子1人女子2人という若いメンバーでした。
そんな中、当たり前のようにお歳暮の注文も来ます。
若い子にはあまり馴染みのないお歳暮。
リーダーを任されていたので、大学生に基本的なことを教えました。
お歳暮注文用のメモがあるのでそれを見せながら、お歳暮と言われたら、お歳暮ののしに「お名前はなんと入れますか? のしは外のしですか? 内のしですか?」と聞くように伝えました。
男子大学生は私の言うことをきちんとメモし、口に出し繰り返していて、微笑ましかったです。
するとすぐにお歳暮を注文する和服の女性がいらっしゃいました。
「お歳暮ののしにお名前はなんとお入れしますか?」
男子大学生の100点満点の接客を、笑顔で後ろで聞いていた私。
「名前はいらないわ」
和服の女性の答えに、そのパターンを言うのを忘れたことに気付く私。
そうきたかーなんて、後ろで考えていました。
一瞬間がありましたが、男子大学生が「分かりました」と答えた瞬間、事件は起きました。

