小学4年生の娘を育てるユズハさんは、隣町のダンススクールへ娘を通わせることに。そこで、ダンスの先生が娘と同じだというママ・カキエさん、モモさん、ミカさんの3人と知り合います。
モモさんとミカさんは思いやりや常識もあるいい人ですが、カキエさんは明らかに見下した態度で接してきて、いい印象はありません。とうとう我慢の限界を迎え、非常識な言動について迷惑だと伝えたユズハさん。しかし、迷惑な言動は相変わらず続き、無茶な要求を繰り返すように……。ユズハさんが要求を断ると「今後一切話しかけないで」と、カキエさんは激怒。
ユズハさんが、モモさんやミカさんにこれまでのことを打ち明けると、2人はビックリ。ミカさんとモモさんが、カキエさんの行いは「間違っている」と伝えますが、そこに娘のチエちゃんが現れてカキエさんに詰め寄ったことで、親子げんかにまで発展。さらに、この騒ぎを目撃した誰かによって匿名掲示板に書き込まれ、炎上。そして、カキエさんの夫にも知られてしまい、「人としても母親としても最低なことをしたんだぞ」と厳しい言葉をかけられ、ようやく自分の間違いに気づいたカキエさんは、チエちゃんに心から謝罪。
そして、夫に促されてユズハさんにも謝罪をすることに。
ずっと抱いていた劣等感
自分の言動がネットの匿名掲示板に晒され、夫からも厳しい言葉を投げかけられたことで、カキエさんはやっと自分の過ちを素直に認めることができました。
夫に促され、娘・チエちゃんにも心から謝罪ができましたが、まだ謝るべき人がいます。
「俺も一緒に謝りに行ってやるから、きちんと謝れ」
夫にそう言われ、覚悟が決まったカキエさんは、久しぶりにユズハさんに連絡をしました。
何も知らないユズハさんは、突然カキエさんから届いた謝罪のメッセージを見て、その変わりようにビックリ。しかし、今後も娘がレッスンに通い続けるなら、わだかまりを残すよりも和解したほうがいいと考え、もう一度カキエさんに会ってみることにしたのです。











「このたびは、本当に申し訳ありませんでした!」
夫とともに深々と頭を下げて謝罪をしたカキエさん。その後、なぜユズハさんにだけひどい態度をとったのか、自分であらためて考えてみたと言い、その理由を話してくれました。
「ずっと専業主婦でいることに劣等感を抱いていた」
カキエさんはそう言って、社会貢献もせず家にいて子育てをしているだけの状況がつらかったと語りました。そんなとき、家にいながら仕事をしているユズハさんが現れたことで、その劣等感がますます強くなっていったそう。
「あなたを見ていると、自分の存在価値がないように思えて苦しかった」
カキエさんは、そんな本音を告白しました。そして、ユズハさんにひどい態度をとったのは、自分と同じように家にいて、仕事の傍らで育児をしているユズハさんよりも、自分のほうが上だと必死で思い込もうとしていたからだったと話し、あらためて謝罪したのでした。
◇ ◇ ◇
カキエさんは子育てを社会貢献だと捉えていないようですが、未来の日本を支える子どもを育てていくことも、きっと社会貢献のひとつですよね。決して、働いていないということに劣等感を抱く必要はありません。しかし、これまでの経験や年齢、職業など、何もかもが違う人たちが子どもを通して集まるママ友の世界だからこそ、誰かと自分を比べてしまうのかもしれませんね。
ずっと家にいると外で働くママが輝いて見えるのと同じように、外で働くママが専業主婦の家に遊びに行くと、整った家の中や手作りのおやつに驚く……という話はよく聞きます。つまり、自分では当たり前のことでも、他人からは憧れの対象になっているのです。カキエさんは、誰にも言えない黒い感情を抱えて苦しかったと思いますが、一番大事なのは、誰が上だとか下だとかを決めることではなく、自分や家族が笑顔で過ごすことなのかもしれませんね。
著者:マンガ家・イラストレーター しろみ

