無毛症とは、本来毛が生えるべき場所に、生まれつき生えていない状態の病気です。先天的な原因で起こる病気といわれています。
他にも似た症状の病気に乏毛症がありますが、この病気とは異なります。また、この病気は遺伝するのかなど、気になっている方は多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では無毛症の遺伝についてご紹介します。症状や原因についても解説するので、参考にしてください。
※この記事はメディカルドックにて『「無毛症」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
無毛症とはどんな病気?

無毛症とはどんな症状・特徴がある病気でしょうか?
無毛症の症状としては、次の様なものがあります。
毛髪が生えない
全身の毛が生えない
症状は多岐にわたって現れることがあります。まず、毛髪が生えない症状です。生まれつき髪が生えない場合があり、その中でも全頭無毛症と限局性無毛症の2つに分けられます。全頭無毛症は、頭部全体に毛がない症状です。
限局的無毛症は、頭部の一部分に毛が無い症状となります。多くの場合、生まれたときには毛髪があるのですが、生後1~6ヶ月頃までに全て抜け落ちてしまうケースがほとんどのようです。毛髪だけでなく、全身の毛が生えない場合もあります。
そのため、陰毛が生えるべき時期になっても、生えてこないケースもあります。症状の度合いが、ある程度大きくならないとわからないといったことも、この病気の特徴といえるでしょう。
無毛症を発症する原因が知りたいです。
無毛症の原因のひとつは、先天的な遺伝子異常です。生まれたときの遺伝子異常によって起こります。いくつかの遺伝子が関係しているといわれていますが、中でもHR(hairless)遺伝子が大きく関係しているといわれています。
この遺伝子に異常が起きると、甲状腺ホルモンやビタミンDの働きに大きく影響するのです。そのため、毛髪が生えてこないといった症状を起こします。
この病気の原因の多くが、このHR遺伝子の異常によるものです。その他の原因としては、薬剤や放射線などの影響によるものもあります。
無毛症は遺伝が原因の場合があると聞いたのですが…
無毛症は先述したように、HR遺伝子の異常によって起こることがほとんどです。そして、このHR遺伝子異常による無毛症は、遺伝子形式が常染色体潜性遺伝形式と呼ばれる形式をとることがわかっています。
必ずしも親が発症しているとは限りませんが、遺伝が原因の場合があります。また、男性ホルモン分泌不全も、この病気をを引き起こす原因といわれています。
性毛と呼ばれる毛は、男性ホルモンによる影響で、10歳ごろから成人型へと発育するのです。しかし、このホルモンの異常がある場合、毛が正しく成長せず、この病気を引き起こすケースがあります。
無毛症と併発する病気はあるのでしょうか?
無毛症と併発する病気としては、外胚葉異形成症に関連する病気が併発する可能性があります。外胚葉異形成症とは、先天的に毛髪や歯・爪などの、外胚葉組織に異常を起こす疾患の総称です。
無毛症はこの病気と関連があり、同じく外胚葉組織の異常による病気を併発する可能性があるのです。代表的な病気の症状としては、無汗性外胚葉異形成症があります。この病気の主な症状は汗が少ないことです。
また、免疫不全を伴う無汗性外胚葉異形成症のケースもあります。この場合は、歯や爪の形や生え方の異常・重篤な感染症の合併が主な症状です。また、別の合併症としては精神発達遅滞を合併することもあります。
編集部まとめ

無毛症は、先天的な遺伝子異常によって起こるケースや、男性ホルモン分泌不全などで起こる病気です。
症状は毛髪だけでなく、全身の毛で発症する可能性があります。生まれてすぐに気づかないケースもあるでしょう。
また、先天性の場合、明確な治療方法は現在ありません。しかし、今後の研究が期待されており、治療方法も開発される可能性があります。
万が一自分の子供が無毛症だった場合は、正しい情報を集めつつ、治療を進めていきましょう。
参考文献
無毛症について|Medical Note
無汗性外胚葉形成不全|小児慢性特定疾病情報センター
外胚葉異形成症|国立研究開発法人 国立成育医療研究センター

