鼠咬症の前兆や初期症状について
鼠咬症はいずれの病型でも、原因となる細菌を保有するネズミに咬まれてから3〜10日ほどの潜伏期間を経て、さまざまな症状が現れます。ネズミに咬まれた部位が腫れ、発熱や発疹などが出現します。
レンサ桿菌型では、咬まれた部位の傷が治癒した後、発熱や頭痛、嘔吐、関節痛、手足の発疹などが突発的に現れますまれではあるものの、心内膜炎を発症したり、さまざまな組織に膿瘍が生じたりすることもあります。
心内膜炎を発症すると、心臓に形成された菌の塊が剥がれ、血流に乗って全身に運ばれて脳梗塞や腸管虚血などを合併する恐れがあります。脳梗塞ではろれつが回らなくなったり体のバランスが取れなくなったりするほか、麻痺や意識障害を呈することもあります。腸管虚血が生じると、腹痛や下痢、大量の血便を認めることもあります。
一方、らせん菌型では、傷が治癒した後、ネズミに咬まれた部位が赤く腫れて発熱やリンパ節の腫れを認めます。発疹を認めることもあるものの、レンサ桿菌型と比較して軽症の症例が多い傾向にあります。しかし、重症の場合には肺炎や髄膜炎などを合併するケースもあります。
(出典:NIID国立感染症研究所「ラット咬傷歴が認められない鼠咬症例」)
鼠咬症の検査・診断
鼠咬症の検査では、問診や血液検査、病理組織学的検査などがおこなわれます。
問診では症状やネズミに咬まれた状況などを確認し、鼠咬症が疑われた場合はさらに詳細な検査をします。
血液検査では、血球数や炎症反応の程度、腎機能、肝機能などを確認します。また採取した血液や膿・関節液などからの検体を用いた培養、あるいはPCR検査をおこない、原因菌の特定に役立てるケースもあります。
病理組織学的検査では、病態に応じて患部の組織を一部採取し、細胞の状態を顕微鏡で詳しく調べます。レンサ桿菌型では関節内に含まれる関節液を採取し、らせん菌型ではリンパ液や咬まれた部位の皮膚を採取することがあります。
このほか、症状に応じて心電図検査や胸部レントゲン検査、CT検査などがおこなわれることもあります。

