
結婚して5年。もうすぐ36歳になるミカはそろそろ子供がほしい。しかし、夫は「まだいいじゃん」とはぐらかし続ける。自然に妊娠できるのは40歳くらいまで...妊活をあせるミカは、夫に向き合ってほしいと話し合うが?漫画家グラハム子さん(@gura_hamuco)の「うちの夫は子どもがほしくない」(竹書房)を紹介するとともに、制作の経緯や話を聞く。
■「結婚前に話し合っておくべきだった」子供を巡って深まる夫婦の溝



結婚5年目、36歳の夫婦。夫婦仲は悪くないものの、「子供をどうするか」という一点で、妻のミカと夫の間には溝があった。そろそろ子供がほしいと考えるミカに対し、夫は「まだいいじゃん」と話題を逸らし続ける。やがてミカが「別れも視野にいれていかなきゃ…」と口にした瞬間、夫は「わかった。作ろう、子供」と答える。しかしそれは前向きな決意というより、「別れるくらいなら子供がいたほうがマシ」という消極的な選択だった。
本作「うちの夫は子どもがほしくない」を描いた作者のグラハム子さんは、制作にあたり「子供が欲しい女性」と「欲しくない男性」に取材を行ったという。自身が子供は欲しいタイプだったため、欲しい派の気持ちはよく理解できた一方で、欲しくない派の考え方については、取材を通してグッと解像度が上がったそう。特に印象に残ったのが「今はもう子を持つことが一人前、幸せの象徴ではないから」という言葉だと振り返り、「昔だったらきっと社会から認められるツールとして子供を持つ人も多くいたと思います。今はそんなこと必要ない、子供を大切な存在だと思っているからこその『欲しくない』なのだなと思いました」と話してくれた。こうした取材を通して、子供の有無そのものではなく、愛情があるからこそ相手を尊重しようとして苦しくなる夫婦の葛藤や、それぞれが自分の生き方を見つけていく過程を描きたいと感じたという。
価値観が食い違うなかで、ふたりはどんな結論を選ぶのか。簡単に答えの出ないテーマだからこそ、多くの人の心に問いを投げかける一作だ。
取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)
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