「甲状腺がん」手術の”入院期間”や費用は?術後に起こる合併症も医師が解説!

「甲状腺がん」手術の”入院期間”や費用は?術後に起こる合併症も医師が解説!

甲状腺がん手術後の合併症

甲状腺がんの手術を行った後に、生じる可能性のある合併症について紹介します。

反回神経麻痺

反回神経とはのどから胸にかけて位置し、声帯や嚥下機能を司る神経です。甲状腺がんの大きさや部位によっては、手術前から反回神経ががんに巻き込まれていて麻痺していることがあります。
このように手術の前から反回神経ががんに巻き込まれている場合、もしくは手術中にがんに巻き込まれていることが判明した場合、通常は反回神経を切断し可能な限り神経の修復を行います。切除範囲が大きい程、反回神経麻痺のリスクは高くなるでしょう。
反回神経麻痺になると、声が出しにくかったりかすれたりすることがあります。ただし反回神経が温存されていれば一般的には6ヵ月程で回復するでしょう。

甲状腺機能低下・副甲状腺機能低下症

手術によって甲状腺を切除して小さくすることで、手術後に甲状腺ホルモンの分泌量が減少します。これを放置すると甲状腺機能が低下し新陳代謝の低下・だるさ・疲労感・食欲不振などの症状があらわれるでしょう。甲状腺が半分以上残っている場合、一般的には治療を行う必要はありません。
しかし、すべて摘出した場合は、生涯にわたって甲状腺ホルモン薬を飲むことで甲状腺ホルモンを補う必要があります。また甲状腺全摘術の際に副甲状腺も切除して機能が温存できなかった場合、血液中のカルシウム濃度が低下する低カルシウム血症や、手足が痺れるテタニー症状が出る場合があります。
そのため、低カルシウム血症にならないためにビタミンD製剤やカルシウム剤の内服が必要となるでしょう。

後出血

甲状腺がんの手術後、いったん止血したのに再び出血する後出血という合併症が出ることもあります。甲状腺が位置する頸部は狭い空間のため、少量の出血であっても気道閉塞を起こすリスクがある緊急性の高い合併症です。後出血になった場合は、出血を止めるために再開創止血術を行います。

喉頭浮腫

甲状腺をすべて摘出したうえに両側頸部のリンパ節郭清を行った場合、手術後に咽頭浮腫という合併症になる可能性があります。咽頭浮腫になると呼吸困難になるリスクが高いため気道切開による対処が必要です。

手術以外の甲状腺がんの治療法

甲状腺がんの治療法は手術だけではありません。手術以外の治療法を3つ紹介します。

放射線治療

甲状腺がんに対する放射線治療は、放射線を身体の中から照射する内照射と、身体の外から照射する外照射の2種類があります。内照射(放射性ヨウ素内用療法)とは放射性ヨウ素のカプセルを内服し放出される放射線によってがん細胞を破壊する治療法です。
内照射は、目的によってさらに3種類にわけられます。甲状腺全摘後に残っている甲状腺の組織から、がんの再発・転移を防ぐために行われるアブレーションと呼ばれる治療法が1種類目です。2種類目は補助療法と呼ばれ、甲状腺全摘後に周囲の組織に残る小さながん組織を除去する目的で行われます。
3種類目は、がんが残っている場合や遠隔転移で手術ができない場合などに、主に肺転移や骨転移に対して行われる治療法です。放射性ヨウ素のカプセルを内服して数ヵ月後に効果を確認し、がんが小さくなっていることが確認できた場合は半年~1年程の間隔で治療を数回繰り返します。
内服後の一定期間は汗・唾液・尿・便・吐物などの体液に放射性ヨードが排出されるので、数日間は周りの人への被ばくを避けるために専用の部屋への入院が必要です。ただし、アブレーションに限っては一定の条件を満たせば通院治療が行える場合もあります。
希望する場合は主治医に相談してください。外照射は、術後の補助療法や手術ができない未分化がんに対して行われます。その他にも、骨への転移や痛みなどの症状の緩和を目的として行うこともあります。

化学療法

化学療法とは抗がん剤による治療です。甲状腺がんが再発した場合、あるいは転移して乳頭がんや濾胞がんが生じて放射線性ヨウ素内用療法が行えない場合は、分子標的薬を使った化学療法を検討します。遺伝子検査でRETやRTNKなどの遺伝子に変異が見つかった場合は、選択的キナーゼ阻害薬の投与を検討する場合もあります。

内分泌療法

甲状腺刺激ホルモン(TSH)は甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの分泌を促すだけではなく、甲状腺がんの細胞も刺激してがん細胞を増加させる作用のあるホルモンです。甲状腺がんの手術後は甲状腺ホルモンの不足を補うためにTSHの分泌量が増えます。それを抑えるために、十分な量の甲状腺ホルモン薬を内服することもあります。

配信元: Medical DOC

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