腕にかゆくない赤い斑点がある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?メディカルドック監修医が考えられる病気などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「腕にかゆくない赤い斑点」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
後藤 和哉(医師)
大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て京都大学医学研究科、天理よろづ相談所、皮膚科医。
「腕に赤い斑点がありかゆくない」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「腕に赤い斑点がありかゆくない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
クモ状血管腫
クモ状血管腫とは、毛細血管が蜘蛛の足を広げたような形(放射状)に赤く拡張したものです。痒みはありません。首、胸、二の腕に好発します。しばしば手掌紅斑(手の平が赤くなります)を合併します。肝硬変などの慢性肝疾患、妊娠、経口避妊薬、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌異常、膠原病(全身性強皮症)で出現しますが、健康な子供でも出現します。
クモ状血管腫を疑ったら、上記の基礎疾患をはじめとする原因を特定することが重要です。肝臓は沈黙の臓器と言われ、障害があっても自覚症状が出にくく早期発見が難しいです。黄疸(皮膚や目が黄色くなる)や腹水(お腹に水がたまり膨れる)、出血傾向などの症状がでる頃には進行してしまっています。また、膠原病のひとつである全身性強皮症では全身の皮膚が硬くなり内臓にも病変がでるため、早期の診断が必要です。このように、クモ状血管腫が重要な疾患を発見する手掛かりになる可能性があります。クモ状血管腫を疑った場合は一度内科(特に消化器内科)を受診されることをおすすめします。クモ状血管腫かどうかわからない場合は皮膚科を受診してください。クモ状血管腫自体は良性のものなので特に治療を必要としませんが、気になる場合は美容目的にレーザー治療を行うことがあります。
帯状疱疹
帯状疱疹は水ぼうそうの原因である水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。このウイルスは水ぼうそうに感染して治った後も体のどこかの神経節に潜んでいます。ストレスや過労などが引き金となって免疫力が低下すると、潜んでいたウィルスが再び活動を始め、皮膚に帯状疱疹として発症します。そのため、潜んでいる神経節の部位によっては全身のどこにでも出ますが、基本的には体の左右どちらかになります。自然治癒も可能ですが、部位や基礎疾患などによって合併症による重症化の可能性があります。ウィルス血症となり全身に広がると空気感染を起こします。神経麻痺や、脳や脊髄に入ると髄膜炎、脳炎などを合併することがあります。また、帯状疱疹後に神経痛が長期間残る場合もあります。抗ウィルス薬による内服や点滴治療があります。しばしば入院治療が必要になりますので、発症後気がついた時点で皮膚科を受診し、適切な治療を受けられることをおすすめします。
老人性紫斑
老人性紫斑は加齢により皮膚の支持組織がもろくなるため、少しの刺激で血管が破れやすくなり気がつかないくらい軽微な刺激で出血を起こすようになる病気です。特に治療はなく出血は数週間で自然に吸収されて治りますが、普段からこすったりぶつけたりといった刺激をさけるように注意しましょう。
「腕に赤い斑点がありかゆくない」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「腕に赤い斑点がありかゆくない」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
腕に赤い斑点がありかゆみはありません。肝臓が原因でしょうか?
後藤 和哉 医師
そうとは限りませんが、クモ状血管腫なら肝臓が悪い場合があります。
腕に赤い斑点がありかゆくない場合、何科の病院を受診すべきですか?
後藤 和哉 医師
まずは皮膚科を受診してください。斑点が内出血によるもので、他の部位の出血も起こしている場合は速やかに内科を受診してください。
腕にできた赤い斑点は自然に消えるのでしょうか。
後藤 和哉 医師
ウィルス性のものであれば、自然に消える可能性が高いですが、原因によっては原因の治療が皮膚症状の治療に繋がりますので、正しい診断のためにも一度皮膚科を受診されることをおすすめします。

