老人性脂腺増殖症の前兆や初期症状について
老人性脂腺増殖症の主な症状は、顔面に現れる特徴的な皮膚の変化です。一般的に数ミリメートル程度の大きさの、黄白色のニキビに似た盛り上がり(丘疹:きゅうしん)が認められます。特におでこや鼻周りなどの、皮脂が増えやすい部分に多くあらわれる傾向があります。
丘疹の特徴的な点は、中心部にへそのようなくぼみ(中心臍窩:ちゅうしんさいか)があることです。触ると柔らかく、表面はなめらかです。よく観察すると、皮膚の下に存在している脂腺に一致する多数の小さな点状の構造が確認できます。(出典:あたらしい皮膚科学第3版「1.脂腺増殖症」)
老人性脂腺増殖症は、一つだけできることもありますが、多くの場合は複数の盛り上がりが同時に存在します。主に顔面に現れますが、まれに胸や背中などの部位にも見られることがあります。
痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。皮膚の変化は健康に大きな問題を引き起こすことはありませんが、顔に目立つ形であらわれるため、気になる方も多くいます。
また、一般的な老人性脂腺増殖症は良性の病変ですが、見た目が似ている他の皮膚の病気との鑑別が必要になる場合もあります。そのため、気になる症状がある場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
老人性脂腺増殖症の検査・診断
老人性脂腺増殖症は、特徴的な見た目から、通常は医師が診察時の視診で診断できます。視診では、皮膚の盛り上がりの形や色、中心部のくぼみの有無などを確認します。
より詳しい観察が必要な場合は、ダーモスコープと呼ばれる特殊な拡大鏡を使うことがあります。ダーモスコープを使うことで、皮膚の詳しい状態がよく分かり、診断の確実性が高まります。
他の皮膚の病気との区別が必要な場合には、皮膚生検によって皮膚の一部を採取し、顕微鏡で調べることもあります。皮膚生検では、脂腺の増殖程度や組織の変化を確認できます。

