息苦しさが続くときに 「がん性胸膜炎」の特徴と受診の目安を医師が解説

息苦しさが続くときに 「がん性胸膜炎」の特徴と受診の目安を医師が解説

がん性胸膜炎の治療

がん性胸膜炎の治療は、原因となっているがんに対する治療と、胸水貯留による症状緩和の両側面から進めます。

がんの治療では、原因となっているがんの種類に応じて、適切な抗がん剤を選択し投与します。

また、胸水の貯留による呼吸困難が強い場合は、胸水を排出する処置が必要です。この処置により肺の圧迫が解消され、息苦しさが緩和されます。
胸水の量が多い場合は、胸腔内に管(ドレーン)を留置して持続的に排液を促す場合もあります。胸水の貯留を繰り返し起こしている場合は、胸膜癒着術(きょうまくゆちゃくじゅつ)という治療を検討します。これは2枚の胸膜を癒着させて胸水が溜まるスペースを無くし、再び胸水の貯留が起きないことを目的としています。

治療の過程では、定期的な画像検査や胸水の検査、血液検査などをおこないながら、治療効果を確認します。また、咳や胸の痛み、発熱などの症状に対しては、それぞれ適切な対症療法も併せて、総合的なアプローチによって治療を進めていきます。

がん性胸膜炎になりやすい人・予防の方法

がん性胸膜炎はがんを患っている人がなりやすいといえます。ほかにも、アスベストへの曝露を原因とする悪性胸膜中皮腫を患っている人もリスクがあります。

これらを踏まえて、がん性胸膜炎の予防策として大切なのは、がんを患っている人は疾患の治療を続け、経過観察を受けることです。疾患のフォローとして定期的に血液検査や画像検査を受けることが、がん性胸膜炎の早期発見や早期治療につながるのです。

また喫煙は肺がんをはじめとする悪性腫瘍の直接的な原因となるだけでなく、免疫機能を低下させ、身体的にさまざまな悪影響を及ぼすため、禁煙に努めることも重要です。

免疫機能の維持や向上の観点からいうと、バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動やストレスを溜めないことなども予防につながるといえます。


関連する病気

肺がん乳がん

リンパ腫

胸膜中皮腫


参考文献

日本肺癌学会「Q55胸水がたまっているといわれました。どのような症状が出てくるのですか。治療法はありますか〜がん性胸膜炎〜」

一般社団法人日本呼吸器学会「呼吸器の病気」

独立行政法人国立病院機構大阪医療センター「胸膜炎」

社会福祉法人恩賜財団済生会「胸膜炎」

松本卓子他「胸膜と胸膜損傷に対する治療」東京女子医科大学外科学

配信元: Medical DOC

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